というわけで昨日、軽く更新を済ませたあと、今度は電車に乗って池袋へ。 グッズについての心配はない、とは言い条、利用するのが初めての劇場なので、ちょっと余裕をもって現地入りです。
……余裕を取っておいて正解でした。
飲食の売店が混んでて、てんで進まないの。
人手不足に加え、流れをスムーズにするためのフローが出来てない。フードを用意する時間を考慮してないし、その案内も為されないので、客の方で気を遣っていないと確実に本篇に出遅れます。私自身はどうにか間に合う時間に購入出来ましたが、ポテトとセットで注文したのにトレーを使うか否かの確認もないし、レジの周りはこぼれたポップコーンやら飲み物やらがそのままで、清潔感も乏しい。オープンしてまだ1ヶ月も経ってない、というのは不慣れな言い訳には出来ても、片付けが出来てないことの言い訳にはならないと思う。少なくとも私は、フードについてはあんまり利用したくない、と感じた。内装は映画愛に溢れてて心地良いのに。
……と例によって口煩くなってしまいましたが、本篇は毎度の如く面白かった。これをアップするのはそろそろ千秋楽も済んでいる時間帯のはずですが、ソフトのリリースまで詳細を知りたくない、という方のために、この先は改行を多めに挟みます。見たくない方は飛ばしてください。
冒頭のネタは、今までありそうでなかった、キーヴィジュアルとまったく同じ構図からのスタート。ボスを殺されたギャングが敵組織に復讐を考える、という話ですが、そこはやっぱりバナナマン、普通に進むはずがない。往年の傑作“pumpkin”みたいな仕掛けも入れて、のっけからバナナマンの世界に引き込みます。
続いてのオープニング映像は、確か3年目となる“オルケスタ・バナナ・ゼロムジカ”による演奏をバックにした、相変わらずのカッコいい仕上がり。いつも思うんですが、なんでオープニングはこんなにカッコいいんだ。本篇、下ネタばっかりだったのに。
2本目は、友人に誕生日サプライズを目論む日村さんが設楽さんに相談する、という話。今回、このネタはちょっとした衝撃があります。日村さん、遂に一線を越えました……ある意味、大変に日村さんらしい展開ではありましたが。
幕間映像は、バナナマンライブお馴染みの雑談。タイトルが“続・なんで痩せないんだろう”の時点で、ファンなら色々と察しがつくことでしょう。日村さん、貴方が痩せる日は来ない。
ネタ3つ目は、友人にプロポーズしようとする男と、それに間違ったかたちで手を貸そうとする男、加えて銀行強盗を企むチンピラ、という3つの流れが絡んでいく話。こちらもバナナマンならではの、2人で複数の役柄を演じるあのスタイルです。構成力と本人の演技力、そして仕掛け自体を利用するしたたかさがないと出来ない組み立てで、これこそバナナマンの本領だと思う。ライブにまで足を運んで観ているお笑いはバナナマンと東京03くらいなんですが、あの03でさえこのシステムを使ったネタがないことを思えば、やっぱり相当高度なものだと思う……展開はろくでもないんですが。
これを受けての映像もの2つ目は、劇中に出てきた熊避けグッズ・オオカミのおしっこの匂いを消す方法を考える。これもライブではお馴染みの実験シリーズです。今回、TBSラジオ・バナナムーンGOLDリスナーならよく知っているあれの現物が登場します。笑いつつもちょっと感動。
ネタ4つ目は、脱出ゲームに挑むふたりのバカ、という内容……こういう説明にするしかない。ときどき出て来る、はしゃぎすぎておかしくなるひとたちの系譜です。とにかくあまりにも脱線しすぎて、却ってオチが解らない。ほぼ脳天気に笑ってればいいネタですが、謎解きはちゃんと入っているのがさすが、と言うべきか。
映像その3は、先行するネタを受けての“大人のクイズ”。この映像をオープニングと並べて見せたら、きっと詐欺だと思います。下ネタにもほどがある。
5つ目のネタは“赤えんぴつ”。ほぼ恒例だったにも拘わらず、昨年は別の歌ネタに押し出されてしまったようで、2年振りの登場です。このシリーズはやり取りこそ違えど展開はほぼ一緒で、観客サイドとしてはちょっとした息抜きの感覚で観てしまいますが、意外と侮れないのがオリジナル曲の質の高さ。フォークデュオ風の曲なんですが、毎回一筋縄ではいかない。“S”というタイトルになぞらえて、性格の悪い彼氏を綴った歌なんですが、曲のなかに呟きの形でツッコミを入れている。お笑いのネタとしては必然的な、しかしそれ故に曲としては風変わりな作りに唸らされてしまった。
幕間映像最後のひとつは“50音ゲーム”。お題に沿って、提示された頭文字から始まる単語を挙げる、という有名なゲームですが、ここではそれを3個ずつ挙げる、とルールを変更、日村さんと作家オークラで争っている。観ていると解りますが、3個挙げるのはなかなか無理がある。それがちゃんと笑えるくだりになっているのはさすがですが。
そしていよいよトリの6本目は、披露宴のお色直しの合間に、新婦の兄である日村さんが、スピーチの内容を作家である友人の設楽さんに相談する、という筋立て。前にもスピーチを軸としたネタがありましたが、今回は大トリらしくヒネリが効いている。そして、ちゃんと笑わせておきながら、最後に感動まで用意しているのもいつもながら。日村さんの汗だくでのスピーチと、エンドロールあとに添えられるエピローグは圧巻でした。
映像ソフトではカットされがちな、バナナマンふたりによる挨拶もしっかり上映されました。2日目に、バナナマンのふたりにとっても経験のないトラブルが発生した、という点は前夜のラジオでも触れてましたが、それが実は1本目の冒頭だった、という告白に笑いとどよめきが起きました。今日は完璧だったようですが、設楽さんはやっててだいぶ不安だったそうです……そりゃそうよね、相方にステージに置き去りにされたら。しかも1本目のネタで。
確かに少々下ネタに寄りがちな内容でした(“S”というタイトルには“下ネタ”も含まれてたようだし)が、しかし全体のテイストは、花鳥風月シリーズぐらいの頃に近いように思いました。ラジオで受けたエピソードも取り入れつつ、ネタ自体に仕掛けのあるものが多い。こういう作品が好きでバナナマンにハマった私としては、とても嬉しい仕上がりでした。今からソフト化が楽しみ。
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