このところ、知人のお店を手伝っている都合で忙しい母が、今日は予め休みを取ることを決めていた。せっかくだから映画が観たい、という。もともと旅行との兼ね合いで、この日に観るつもりでいた作品が母の好みに合いそうなので、チケットを確保の上、一緒に出かけてきました。
なんで予定が決まっていたかといえば、ものは午前十時の映画祭10-FINAL上映作品だから。ふだんのローテーションなら、プログラム切替直後の火曜日である先週に観ているはずでしたが、旅行から帰った翌日なので、旅行の日程と映画祭のスケジュールが出た段階で、2週目の火曜日である今日に観る、と決めていたのです。
というわけで、いつものTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞した本日の1本は、松本清張の小説を橋本忍と山田洋次が脚色、野村芳太郎が監督して映画化、ある地味な殺人事件が壮絶な親子の旅とその宿命とを暴き出す『砂の器』(松竹初公開時配給)。うちはレーザーディスクで所有していたので、母ももちろん観てるんですが、劇場では観たことがなかったらしい……まあ、公開時期を考えると当然なんですけどね。
小説の下巻の要素をごっそりと切り離し、事件の動機や解明部分に終盤を費やすことで映画として傑作になった本篇ですが、ミステリとしては変わった見せ方をしている。地道に痕跡を手繰り、最初はすべてが謎だった被害者の素性をじりじりと解明していくのですが、観客サイドからすると、その表現ゆえに序盤から犯人は薄々察せられる構成になっている。しかし、本格的に犯人側の描写に入っていくタイミングが絶妙なので謎解きとしての興趣は損なっていないし、事実を段階的に示すことで更なる効果を上げていく終盤はドラマとして秀逸。劇場で観るのはこれで3回目ですが、私は毎回、クライマックスのある人物の慟哭にグッと来ます。
鑑賞後はコレド室町の地下で昼食を摂り、近場にあるアンテナショップで買い物をしてから帰宅……こないだ当地に足を運んだばかりなのに、またにほんばし島根館で買い物をしてたりして。そろそろ松江怪喜宴とは関係なしに出かけてしまいそうです……。
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