……タレントからオーディションで選ぶ必要、あった?[レンタルDVD鑑賞日記その775]

 12月6日、2022年1月リリースの『霊界の迷路 第一章』を鑑賞。子供の様子をリアルタイムで確認しながら撮影していた映像に起きた怪異《テレビの中》、海水浴場で失踪した女性の腕に固定されていたアクションカメラの不気味な記録《海中》、キャンプ動画の撮影中に起きた恐るべき出来事《唸り》、スタッフが彼氏の部屋で遭遇した怪異の背景を探る前後篇《アスリートの霊》の全5篇を収録。
 この分野ではまだ珍しいと思われる女性スタッフ中心の編成……が、それに何か意味があったか、と問われると、大変微妙。メーカーのプロデューサーがチームリーダーに対して直々にチームの発足を命じ、芸能事務所のタレントでオーディションを実施してスタッフを集める、というプロセスを見られるのは新鮮……だがあんまし見なくてもいいよな、という心境。
 前後篇に分けられたエピソードでは、寄せ集めのスタッフであるがゆえの手際の悪さ、覚悟の乏しさが引き起こす事態もあって、そういう意味では面白い、とも言えるんですが、こっちとしては怪奇映像や、その異様な背景そのものが見たいのであって、スタッフの言動で差別化されてもあんまし興味が湧かない。むしろちょっと苛々します。
 映像そのものは悪くない、と感じるものの、全般に背景の追及が甘いのも引っかかる……そしてそれを、スタッフの能力不足で言い訳されている印象があるのが何とも。アクションカメラがどのような状態で回収されたのか、調査しているはずの警察の見解はどうなのか、また長篇ネタで負傷したスタッフの彼氏はどうなったのか、とか気になる点が概ねスルーされているのも、不慣れなスタッフなら仕方ない……と思わせようとしてるのか。
 たた、長篇エピソード《アスリートの霊》後編での、同時進行する出来事を複数のカメラで捉え、細かに切り替えながら見せるくだりの動的な迫力はなかなか。足音が縦横に動き回る、という怪現象だからこその動揺、混乱が疑似体験できます。惜しむらくは、なにせほとんどが新人、しかも女性ばかりゆえに、いまどこを動いている誰のカメラなのか、が把握しづらい点。見分けがつかなくても記号的に男性、女性、スタッフ、投稿者、関係者、と分けられればいいんですが、なにせこのくだりは、怪我で退場したスタッフの彼氏以外すべて女性、しかも同じような世代で、体型や服装での区別も咄嗟につきにくいので、過剰に混乱を助長してしまってる。投稿者とスタッフが同一、というのもここでは悪く働いてます。
 第一章、とありますが、現時点では続篇はリリースされていない模様。女性のみのスタッフ構成や、採り上げられた映像の内容にはそれなりに可能性は感じるんですけど、そもそもスタッフを大半、タレントからオーディションで選ぶ、というやり方自体、選ばれたスタッフがこの仕事に魅力を感じなければすぐ別に移ってしまうリスクがあるわけで、どだい無理があったと思うのよね……。

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