本日、人工透析はお休みです。基本的に、介助者が不在では実施しない、というのが鉄則ですが、きょうは母が夜に仕事が入ったそうで、透析の休みを今日にすることになった。せっかく空いているなら、と、この時間に観られる作品を、という基準で漁って、チケットを確保しておいた。……いざ当日になったら、人手が不要になったとかで、けっきょく母は家にいるみたいですが、もうチケット取っちゃったので出かける。
行き先は新宿ピカデリーです。バイクで行きたかったのですが、雲行きが怪しいので、大事を取って電車を使いました。警戒したときに限って降らねんだけど、まあそういうものだ。
鑑賞したのは、谷口ジローによる夢枕獏の名作の漫画版をベースに、山に魅せられた男たちの狂気とドラマをフランスのクリエイターがアニメ化した『神々の
とにかくいちばんの衝撃は、精細な谷口ジローの絵を見事に動かしていることです。もちろん、だいぶ線は省略してますが、画面の質はかなり再現してる。山の迫力を表現しながらも、絵画的な画面はそれだけで充分すぎる見応えがある。
物語は、一時注目されながらも消息を絶った登山家が手にしていた、山岳史を塗り替える可能性のある記録を巡る追跡劇から始まるのですが、気づけばそれは、謎の鍵を握る登山家の半生から、山を登るという行為を突き詰めていく旅路を描き始める。いつしか、謎とは関係なく、山というものの過酷さ、その悪魔的な魅力に観客までが取り憑かれてしまう。数日がかりの登山なんか(体力ではなく障害ゆえに)考えられない私でもちょっとムズムズするほどに。
カメラマン・深町の視点と登山家・羽生の半生を並行して描き、謎解きめいた構成で見せているわりに、決して綺麗な着地ではない。しかし、山を登るということの本質、ひいては生きることの本質を突き詰めた終幕は、完全に幕を引いていないからこそ余韻を残します。
精緻な作画とスリリングな語り口、そしてコンパクトに詰めこんだ構成。100分もないのに凄まじい充実感のある傑作でした。時間が合わなきゃスルーしてた可能性もあるんですが、観られて良かった。
母の予定があっても、帰宅後に一緒に食事することになっていたので、寄り道はせずまっすぐ帰宅。お出かけ用のイヤフォンをヨドバシカメラで探したかったんですけど、そのためにはもっと早く家を出るべきであった。
コメント