週末ですが、映画鑑賞ではありません……が、映画絡みのイベントにお邪魔してきました。ジャッキー・チェン最後のアクション超大作『ライジング・ドラゴン』の来月公開に先駆けて行われた記念イベントです。場所は、飯田橋駅からほど近い角川書店本社内のホール。……きのう、自転車でいっかい近くを通りかかったので、楽々到着。
場内には、日本公開に際して製作されたキーヴィジュアルをモチーフとしたポスターやスタンディ、本国版のポスターは無論のこと、関係者が持ち込んでくださった貴重なアイテムが並べられていました。
他にも、撮影はしませんでしたが、『新宿インシデント』撮影時の進行表や、香港の雑誌に掲載された紹介記事の切り抜き、なんてのまで展示されてました。……新宿じゃなくて神戸で撮ってたのかあれ。
まるで展示物を堪能させる猶予を与えてくれたかのような待ち時間を経て、いよいよイベント開始。……と思ったら、営業担当の仮面P氏の呼びかけに、まず登場したのはスクール・オブ・ジャッキーのゴリラ氏ひとり、しかも何故か松葉杖姿。なんでも昨日、自転車で盛大に転倒して脚を痛めたのだそうです。それでも随所で立っておられましたが、ある意味なんてタイミングのいい。
遅れてスクール・オブ・ジャッキーのもうおひとりポリゴン太氏と、今回の『ライジング・ドラゴン』日本語吹替版にも参加されているジャッキー大好き声優の堀川千華氏が登場。イベントの流れの説明と意気込みについて語られたあとで、他のゲストの皆さんが着席し、本格的にスタートです。
実のところ、もーちょっとあっさりとしたイベントを想像していたため、メモを取り出すことはしなかったのですが、途中で激しく後悔しました。まー内容が濃いったらありゃしない。ジャッキーの日本初紹介作品である『ドランクモンキー/酔拳』の劇場予告篇を観て惚れ込み、熱心に追い続け、日本での撮影時にはお茶くみをしていたこともある、という筋金入りのフォロワーである映像ディレクター・高澤泰一氏が秘蔵写真をもとにジャッキーの人柄を語ると、かつて東宝東和に在籍し、全盛期の彼の作品の広報に携わった菅野陽介氏が日本配給時のエピソードについて語り、ドニー・イェンのスタッフのひとりとして香港映画に現役で関わり、『新宿インシデント』の日本での撮影時に実際にアクション演出を担当した谷垣健治氏が、撮影現場も知っているからこその裏話や自説も披露する。ほんとーに濃厚な内容でした。
「何でもやるひとだ」と言われているジャッキーが実際に撮影後の掃除に機材の移動、更にはエキストラに飲み物を配ることまでやってしまう、本当に熱意とサーヴィス精神に溢れた人物だ、というのが話から充分伝わりましたが、個人的に唸らされたのは、谷垣氏がついでに語った、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』についての推論です。この作品、クライマックスにおいて、言われてみると少々不自然な流れがあるのですが、実はここに、本当ならもうひとつカーチェイスが挿入されていたのではないか、と谷垣氏は推測しているそう。そしてそれが、同時期に撮られていた『ファースト・ミッション』に流用されたのではないか、というのです。後者は監督が兄貴分のサモ・ハンであり、「使わせてくれよー」という言葉をジャッキーが受け入れ、前者は問題の箇所に少しだけ辻褄を合わせるカットを加えてまとめたのではないか、と。たぶん本人は否定するか、あったとしても忘れている可能性があるのでは、と谷垣氏は若干おどけていましたが、しかしこれ、両方を思い出してみると確かに頷ける。やっぱり、作り手としても携わり、繰り返し鑑賞しているようなひとは違う。
こんな調子で、もっともっと話を聞きたいぐらいでしたが、観客側からしても時間が押せ押せになっていて、終盤ちょっと駆け足になっていたのが勿体ない。……このメンバーが再度集まるなら、もういっかいお邪魔してみたいぐらい、満足度の高いイベントでした。
もちろん、肝心の『ライジング・ドラゴン』についても触れています。本篇をすべて流す……ということまではしてくれませんでしたが、予告篇では使用されていない場面の抜き出しを7分ほど鑑賞させてくれました。本当にちょっとつまんだだけ、という長さですが、しかしこれだけで力の入りようが伝わる。回廊の鉄柵をくぐっての立体的な擬斗を披露するジャッキーに、まるで往年のジャッキーが乗り移ったかのような戦いぶりを示すクォン・サンウ、危機一髪のシーンでうまい具合に笑いを挟むくだりもあるかと思えば、『サンダーアーム/龍兄虎弟』のパラシュート・シークエンスを更に発展させたような“空中戦”まで、まさに“ジャッキー映画”としか言いようのない場面の目白押し。しかしいちばん興奮させられたのは、やはり全身に装着したローラーで駆け回るシーンです。予告篇や、既に公表されている映像からもその凄さは感じられますが、抜き出しの映像はもっと凄い。観ているだけでアドレナリンが分泌されるのが解るような気分です。本篇を観ずとも、これはジャッキーの集大成であるのが窺えます。ああああもう、楽しみで仕方ないでわないかー!!
最後に、スクール・オブ・ジャッキーのおふたりが不定期で更新しているネットラジオの収録を、ホールの消灯が迫っているためやたらと手短に済ませて、すべてのイベントが終了。これだけ堪能させてくれたうえに、B1サイズの非売品ポスターまで頂戴できるんですから、至れり尽くせりにもほどがある。もともと私自身ヒットを願っている作品ですが、ますます応援せざるを得ません。楽しいひとときでありました。
……が、ひとつだけ、心残りがある。
許可は出ていたのですから、これで遊んでみるべきでした……妙に遠慮してしまって、デモ画面を撮影するだけに留めてしまったのです。また逢えるかな、これ……?
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