10月10日くらい(ちゃんと記録してなかった)に、2019年3月リリースの『心霊曼邪羅15』を鑑賞。宿近くの渓谷に出向いた男性たちが遭遇する恐怖《夜の渓谷》、自動車同士の接触トラブルで言い合いになっているとき奇妙な出来事が起きる《車道の諍い》、動画配信者が夏の時期に合わせて撮影した企画を巡る経緯《ひとりかくれんぼ怪》前後編など、全8篇を収録。
……借りてから感想書くまでだいぶ長いこと放置してしまったぜ。そろそろ書くことがないんだぜ……だって、ある意味でいつもいつもおんなじクオリティなんだもの。怪異の傾向が似たり寄ったりすぎて。
撮影者が目視した瞬間に大きくカメラがぶれて、フレームから外れるとすぐに消える怪異、ってそもそもあまり意味解らないのです。それは撮影者本人からどういう風に見えて、どういう風にカメラを振った瞬間に消えたのか。そのとき、撮影者自身の目の動きはどうで、どのように消えてしまったのか。このあたりをはっきりさせてくれないと、作り物という印象はどうやったって拭えません。先行するシリーズでもありがちな展開ですが、この類いの怪奇動画に白けるのは、このあたりの見え方が明確ではないから、というのがたぶん大きい。このシリーズの場合、ほとんどが同様のパターンなので、余計に不自然さを意識させられてしまう。冒頭の《夜の渓谷》なんか、このパターンを3回繰り返すんだぞ。
ここに来て採り入れられるようになった前後編のエピソードが、怪奇映像としてまだ許容できるのは、撮影者が説明できない状況だから、なのですが、それでも不可解なことはいくつかある。最大の問題は、浴室で映った血痕です。肝心のシーンのあと、完全にあの箇所が映った瞬間がないのでよく解りませんが、あれは実在したものなのか、あの映像に一瞬だけ捉えられたものなのか。実在したものなら、まあまあの出血量なので、撮影者が怪我をしていないか、していないとしたら誰の血なのか、をもう少し詮索しなきゃいけない場面でしょうし、後者ならそれ自体が怪異です。投稿者が一体どの段階で映像を確認したのか解りませんが、もし撮影直後ならもっと気にするべきところでしょうし、仮に撮影からだいぶ経った時点であっても、血の行方については何かしらの考えを巡らせて然るべきはずです。投稿者がそこに言及しないのは不自然ですし、この作品のスタッフも特に追求していない、そこがどうしようもなく甘い。
この長篇そのものが、ハイペースで巻数を重ねて、変化を加える意欲はあるようなのに、質自体は向上できてない、実際にリリースされてから数年経っており、巻数も更に積み重ねているいま、果たしてどの程度レベルアップしているやら……そして私はどこまで付き合うつもりなのやら。
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