申し訳のないことをした。

 次回の診察のために必要な採血をこの前の土曜日に実施したので、今日はクリニックに届けねばなりません。
 クリニックまでは徒歩でも行ける距離ですが、早く家に戻りたいときはバイクを使います。このところあまり乗っていなかったものの、そろそろガソリンを満タンにしておきたかったので、クリニックへの配達をバイクで行おうと思った。
 久々にカバーを外し、装備もして、エンジンをかけようとしたら、入らない。いちどキーをオフに回して、改めてスターターを押しても、エンジンが入らない。
 これはもしかしたら、バッテリーが上がってしまったかもしれない。前々から、そろそろ劣化してきているので換えた方がいい、と言われていたので、すぐにそう考えた。だとしたらバッテリーを交換するしかないのですが、そんな時間も余裕もない。
 窮余の策として、隣の家のチャイムを押しました。こちらのお宅は乗用車やバイクが好きで、車庫にそれなりに設備が揃っている。少し前、ご主人は運転免許更新の認知能力テストで、僅か1点下回ったため、泣く泣く免許を返納したため、ご主人本人の乗用車はないのですが、仕事を継いだ息子さんが自家用車やバイクを入れていることがあるので、まだ備品はあるかも知れない。ご主人には申し訳ないものの、ひとまず頼ってみたのです。
 既に仕事も半隠居状態で、チャイムを押したときはまだお休みになっていたらしい。着替えてくるからちょっと待ってて、と言われ、そのあいだに私はもう一回、バイクの様子を見てくることにした。
 ……実はその時点で、あれ? と首を傾げることがあった。その予感に促されるまま、もういちどバイクのエンジンをかけてみた。
 ……かかった。
 バイクにも色々なセーフティがある。そのなかに、ギアがニュートラルか、クラッチが引かれている状態でないと、エンジンがかからない、というものがあるのです。メーターをよくよく見ると、ギアがニュートラルであれば表示されている“N”の文字が見当たらないので、バイクに跨がり、ギアを調整してエンジンをかけたら、案の定でした。
 バイクのニュートラルギアは、しばしば加減が微妙で、走行中にローギアで細かく動かしていると、不意にニュートラルに入ってしまって空吹かししてしまうこともあれば、停車時にニュートラルに入れたはずが、ちょっとした加減でギアがズレて、思わぬタイミングでエンジンが止まってしまうこともある。信号待ちのあとの思わずニュートラル、は何年運転しててもときどきやってしまいますが、さすがに後者は少ないものの、駐車したあとに、ちょっとした弾みでニュートラルに入ってしまうことはままある。それで、キーを回したときに気づいて、慌ててニュートラルに入れ直すのです。
 たぶん、前回駐車したときにニュートラルからズレたか、動かさないあいだに地震や、近所での工事もあったので、振動によりギアが動いてしまったのかもしれません。そもそも、キーを入れたときに、メーターが点灯してるし、ヘッドライトも点いてるんだから、バッテリーが上がったわけではないのだ。気づけ。
 そういうわけで、バイク自体は問題なく動いたのですが、申し訳ないのはお隣のご主人です。動いて良かった、と言ってくれましたが、どー考えても、休んでいるところを私が叩き起こした構図です。本当に申し訳ないことをしてしまった。

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