警察沙汰だと思うよ、それ……。[レンタルDVD鑑賞日記その933]

心霊盂蘭盆13 無縁仏怨嗟(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 2月22日に、2020年8月リリースの『心霊盂蘭盆13 無縁仏怨嗟』を鑑賞。インディーズのMV撮影のさなかに起きた不可解な事件《呪憑面》、行方不明になった少女を追う家族に密着した撮影隊が見舞われる怪異《真実の行方》、一連の動画の関連性を解き明かしていく《無縁仏怨嗟》など、全5篇を収録。
 このシリーズ、この演出家の作品はどーしても評価を辛くせざるを得ない、というのをもう痛感してるんですが、なにせ怪奇ドキュメンタリー系の新作もそこまで無数にリリースされてるわけではないし、どーしても受け付けないものを排除すると、更に数は減る。そういう意味では、このシリーズもまだ、題材やタッチがまだ許せるから観続けている、という感じです……でもけっきょく、モヤモヤした気分で終わるのですが。
 今回ものっけからモヤモヤです。別にどんな異様な事件が起きてもいいんですけど(いいのか?)、せめて経緯にリアリティは欲しい。
 冒頭の《呪憑面》からしてこの根本的欠陥が露骨に出ている。カメラに捉えられた怪異を別にして、現実として把握できる部分だけ抽出したら、これは普通に“事件”です。インタビューによって語られる背景に、第三者の介入を認めているからには、確実に警察が関与するはずなんですが、話の中にその気配がないのがあまりにも不自然。いちおう、関係者のその後について言及してはいるんですが、それだって、警察が挟まることで、内容も表現の仕方も、こんなシンプルにはならないはずなのです。
 なんなら、新聞や雑誌の記事になっていても不思議ではないのに、それがモザイクつきどころか、インタビューやナレーションでも言及していないのが更に変。
 どれほど奇怪な事件が起ころうと、それを現実の中に設定する以上、現実に即した反応を考慮して描かなければ、フェイク・ドキュメンタリーとしてはおろか、フィクションとしても一段落ちてしまう。多少の無茶、飛躍は許されていい、と考えるたちですが、そのためには土台作りが必要です。そもそもの土台がうまく築かれていないのですから、率直に言って、稚拙だと思う。
 挙句、怪異そのものの描写についても、深く考えていない安易さが露わで、すごーく残念です。こと3篇めの《徘徊亡者の残影》、投稿動画終盤の怪異の内容がものすごくチープで不自然。以前鑑賞した作品とまっっったく同じタイプの怪異があって、なおかつまっっったく同種の不自然な反応をしていて、正直呆れます。これおんなじメーカーで、リリースの間隔、3ヶ月しか開いてないぞ。しかもあちらは別の演出だったはずですが、監修は本篇の演出がしていたはずだぞ。気にならないのか。
 それでもベースとなる発想にはまだ工夫が見られることは認めていたシリーズだったんですが、その点でも本篇はいただけない。少なくともそれぞれの墓所で弔われているはずの無縁仏を、いたずらに人を呪うものと決めつけるような内容は、きちんと弔っている人にも、そこに眠る人にも失礼。
 映像を投稿した、という設定になっている人々がどれだけ駄目な人でも、無神経なことをしてバチが当たっても、まあそりゃそうだよな、で済むんですが、それを取り扱うスタッフの方には慎重さと配慮がなければ、ただただ据わりの悪い印象をもたらす。それは怖さではなく、中途半端なスタンスによる不安定さです。
 低予算で制作する娯楽作品とはいえ、このシリーズの作り手はさすがに軽薄すぎる気がしてます……もはやツッコむためだけに観ている気分。この手の怪奇ドキュメンタリーも、新作のリリースはだいぶ減ってきたようなので、とりあえずこのシリーズも姉妹篇『心霊曼邪羅』も観続けはしますけど、評価が一変するときは来るのでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました