『ばけばけ』感想&うんちく日誌、その18。(放送第24回・第25回)

 ヘブン先生、天岩戸から現れる、の回、とりあえず終了。
 実際にこういう経緯があったのかは解らないけれど、史実を下敷きに、うまく起承転結にまとめたと思います。ヘブン先生の心情は当然だし、錦織の思い込みも宜なるかな。
 しかもそこに、トキを介在させているのも巧い。理解までの過程がちゃんとドラマとして昇華されているし、こうすることで、史実をなぞると居合わせた可能性の低いトキの出番と、ヘブンとのより深い“縁”を演出している。
 ただ、オープニング前のくだりで、もったいぶった形にしたのは、ちょっと気になった。ここで、こういう形でヘブンが本来、教師ではなく記者だった、ということを俎上に上げるなら、出逢いの前のヘブンについての描写は、もうちょっと秘密を残すべきではなかったか――まあ、これはそもそも構造に気を取られすぎで、まだ異文化との交流に慣れず、理解が及ばないすれ違いの象徴、と捉えれば、間違っていない。ていうか私がこだわりすぎかも。
 とまれ、錦織がヘブンに対する理解と歩み寄りの気配を窺わせて、来週に続く。脚色しつつも、史実の流れは基本、外してませんので、来週はもう次のステージですよ。早えな。解っちゃいたけど話が早すぎて、予告だけだとヘブンさんの手が早いように映るぞ。ちゃんと事情はあるし、これまでの脚色の傾向からすると、その辺は史実から離れない形で描かれるのではなかろうか。

 そういえば、触れ忘れていましたが、ヘブンが失明した理由は、モデルのラフカディオ・ハーンからちょっとアレンジされていました。
 実際には、紐にぶら下がって回転する遊具(ジャイアント・ストライドと言うそうな)の紐が偶然に当たり、処置が遅れて失明したそうです。ただこの遊具、近年の日本では見たことがないし、もういい歳になった私ですら、映画や海外の映像でしか見たことがない。恐らく、まさにラフカディオ少年が怪我したような危険性から、日本の安全基準では承認されていないのではなかろうか。
 理由を変えたことに異論はありません。この回想のためにあの遊具を探したり設置したりするのも手間ですし、特殊な来歴と独特の感性を持ったラフカディオ少年は、学校に居場所がなかった、という事実もありますから、解りやすくしたのは賢明だと思う。

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