クレイジーなバカ騒ぎ。

 今日も映画館に行く代わり自宅で映画鑑賞です。非常事態宣言が出たころに、「この隙にこれは観ておこう」と引っ張り出してきたディスクが何枚かあるのですが、方向性が最近観たものと被りすぎているので、ちょっと間を置くことにして、NETFLIXにてピックアップしておいたもののなかから選ぶことにしました。
 で、本日採り上げたのは、『刺さった男』『スガラムルディの魔女』のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督2015年の作品、大晦日特番の収録で起きる無数のトラブルをかなり毒強めに描いたブラック・コメディ『グラン・ノーチェ! 最高の大晦日』(劇場未公開・映像ソフト未発売)
 ……配給されてないのも映像ソフトが出てないのもどうやらマジです。ほんとにデータがない。2015年のラテン・ビート映画祭で上映され、昨年末に新宿武蔵野館の記念イベントで特別上映されていたようですが、イベント外で公開されてない模様。こんなに面白いのに。
 ただ、面白いのは面白いんですけど、とにかく「何が起きてんのこれ」とずーっと呆気に取られっぱなしなのです。撮影に関わる人々がそれぞれの立場、状況によって様々な思惑で行動するのが微妙に交錯して、事態がどんどんわやくちゃになっていくんですが、この面白さが説明しにくい。大物歌手が歌唱順で揉めてる一方で命も狙われてて、別の歌手は搾り取られた精液を脅迫に使われそうで慌ててて、急遽エキストラに呼ばれた地味な男は思わぬところで恋人が出来たと思ったらすんごい疫病神で、とかポイントが多すぎて何が何やら。
 そして明確なオチもなく終わってしまう、のですが妙に爽快感はある。緩急をつけつつも終始おんなじくらいに楽しめる、という、いったいどんなセンスがあれば作れるのか解らない怪作でした。

 このアレックス・デ・ラ・イグレシアという監督、本国スペインでは非常に人気も評価も高いようなんですが、なんでか日本に届かない。前述した『刺さった男』と『スガラムルディの魔女』はパックのようなかたちで公開され、そのときはたぶん本気で売りにかかってたんでしょうけれど、そのあとに製作された3本はみな劇場公開なし、2本が映像ソフト直行だった模様。
 他にもマカロニ・ウエスタンを意識的に撮ってたり、小説をもとに正統派ミステリぽいものも撮ってたり、と作風も多彩でものすごく掘り下げ甲斐がありそうなんですが、劇場で観たいほうだった私にはあまり鑑賞する機会が得られませんでした。
 しかし、NETFLIXにはこれも含めた近年の3作品がぜんぶ配信されてる。それ以前のものも、月額レンタルである程度なら押さえられるものがある。いい機会なので、あと2、3本くらいは観ておこうかしら。

コメント

  1. […] 原題:“Mi Gran Noche” / 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア  […]

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