久しぶりに、ほんとに久しぶりに、映画館に行きました。別に緊急事態宣言の解除を待っていたわけではなく、書類作業が重なったり春の嵐が来たり、と映画館に出かけるタイミングがなかっただけのことで、それゆえにだいぶフラストレーションは溜まっていた。
開映時間は11時45分とちょっと遅い。そこで、あえて早めに現地入りし、先に昼食を摂ることに。このところ、お気に入りのカレーうどんばっかり食べてるので、以前いちどだけ訪れて、なかなか美味しかったラーメン店にしてみるか、と覗いてみたのですが――閉まっていた。『緊急事態宣言解除まで休業します』という旨の貼り紙がしてあるけど、だとしたらいったいいつ再開するんだろう、と思いつつ、きょうもカレーうどんを食べることに。美味しいので文句はないんだが。
久々の映画館詣でに選んだ劇場は、TOHOシネマズシャンテ。鑑賞したのは、アイルランド出身の異才ロルカン・フィネガン監督作品、新居を探していたカップルが、異様な空間での“子育て”を強いられる奇想天外なスリラー『ビバリウム』(PARCO配給)。予告篇でそのシチュエーションに魅了されてしまい、是が非でも観たかった1本でした……タイミングさえ合えば先週観るつもりだったのよ。
期待通り、異様な感覚に襲われる怪作。果てしなく続く同じ街並み、送り届けられる日用品で無理矢理生かされ、誰とも解らない子供を育てさせられる。どれほど逃げ出したくても逃げられず、男は闇雲に行動を起こし女は殻に閉じこもる。完全に常識を逸脱した展開と、それによって心を破壊されていくカップル、という構図の悪魔的な怖さが逸品。
ただ、冒頭で提示されるシチュエーションがあまりにもインパクトが強くて、その後も色々と繰り出しては来るものの、より強烈なものを出せていない印象があるのがちと残念。実際には、象徴も含めどんどん恐怖を増幅させる仕掛けが組み込まれてるんですが、すべてが明快に解かれるスリラーを欲してしまうと、ただ無秩序に謎を増やしてるだけのように見えるかも。
しかし、現実と悪夢の境を乗り越え、観客までもその罠にかけてしまうような語り口はあとを引きます。深い印象を残す作品。こういうのが観たかったのよぉぉ。
映画の尺は98分と短めだったんですが、久々の映画館詣でに思いのほか疲れたのか、仮眠のつもりがけっこうしっかり眠ってしまいました……まあ、出かける前に時感があるから、と『Fit Boxing 2』を38分しっかりこなしたのもいけなかったんだと思う。
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[…] 原題:“Vivarium” / 監督:ロルカン・フィネガン / 脚本:ギャレット・シャンリー / […]