さすがに今回の休業要請には納得のいかないところが多かったのか、テアトルシネマグループや武蔵野興業あたりのミニシアターは、収容人数を減らしたりと慎重を期しつつ営業を再開してます。私も腑に落ちないところがあるし、営業しているところに少しでも貢献したいので、きょうは出かけたいところでした。
……天気が悪くなければ、ね。
候補としては新宿か渋谷でしたが、どちらも移動するならバイクの方がいい。しかし雨のなかだと、乗るのはいいとしても、雨具の管理に困る。新型コロナウイルス感染症とは無縁に、純粋な風邪を引くのも色々と差し障りがあるので、大人しく自宅で過ごしました。
午前中は『Fit Boxing 2』や諸々の作業に費やし、仮眠を挟んで、17時頃から配信のサイトで鑑賞する作品を漁りました。最終的に辿り着いたのは、スティーヴン・ソダーバーグ監督作品、全世界に多大な影響を及ぼした《パナマ文書》がどのように暴かれたのか、を恐らくはフィクションの要素を交えて描きだした『ザ・ランドロマット-パナマ文書流出-』(Netflix配給)。
相変わらずのソダーバーグ節とでも言おうか、冒頭から監督らしさの横溢した作り。登場人物がカメラに向かって語りかけるプロローグ、視点をたびたび切り替えつつ専門用語も多数交えた会話でテンポよく魅せる語り口、そしてヴィヴィッドな色遣いと巧みな構図。この、映画という表現の中で研ぎ澄ませた作家性がひたすらに楽しい。
ただ、《パナマ文書》の背景を暴く、とかそこから派生する人間ドラマを期待すると、だいぶ消化不良に陥る。恐らくスタッフ自身がそんな意識はなく、《パナマ文書》が象徴する脱法的運用を生み出したシステムそのものを、実在の人物や出来事も引用しながら表現するのが意図で、個々のドラマを綺麗に終わらせることは狙ってない。現実ならばあり得ない終幕のラストでちょこっとだけ溜飲を下げるんですが、この趣向自体も、それまでのドライさから迂闊に一歩踏み込んで、より焦点をブレさせている印象がある。
ものすごくソダーバーグらしい着眼と作り方なので、ファンなら満足出来ると思いますが、単品としてひとに薦めるのはちと厳しい。
来週こそは映画館に行こうと思います……天気が良ければ。でも、そろそろ梅雨なんだなあ……バイク乗りには辛いなあ……。
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[…] 原題:“The Laundromat” / 原作:ジェイク・バーンスタイン / 監督:スティーヴン・ソダーバーグ / 脚本:スコット・Z・バーンズ / […]