《カイザー・ソゼ》とは何者か?

 通常ならばプログラム切替直後の火曜日に観に行く午前十時の映画祭11、ですが、2日に記したとおりの事情で遅らせることにしました。とはいえ1週遅らせると、どんなトラブルで観に行けなくなるか解らないので、一般の公開作を観に行くことの多い木曜日にずらした次第。
 しかし実はこっちも、上映時間はやや遅めの11時40分。ただ、TOHOシネマズ日本橋は、さんざん通って、よくいくラーメン店があり、それぞれの営業時間や提供までの所要時間もかなり把握してる。11時までに現地入りして、早めに昼食を摂ることは可能、と判断しました。
 自転車にて、とりあえずは日本橋ふくしま館に赴き、昼食。前にも食べたことのある鈴木飯店が来てますが、今回は違うメニューを注文。詳細はたぶん後日、別項にて記します。
 さすがにオープン直後なので、数分と待たずに食事が出来、目論見通り、お目当ての作品の開場少し前に映画館に入れました……映画鑑賞前の食事は、慌ただしくなるので出来たら避けたいんですけど、なにせこの映画祭は1日1回上映が基本なので致し方ない。

 今コマの上映作品は、ブライアン・シンガー監督の出世作、碇泊していた船での爆破事件に関与した謎の犯罪者《カイザー・ソゼ》を巡るサスペンス『ユージュアル・サスペクツ』(Asmik Ace初公開時配給)
 ミステリ界隈では評判の作品だったため、当時の私としては珍しくDVDにて鑑賞してます……が、率直に言って、全容を理解していたとは言いがたい。久々に再鑑賞してみて、これはやっぱり手強い傑作だ、と実感。
 犯罪者たちの緊迫した命のやり取りも見応えがあるんですが、瞠目すべきは尋常でなく緻密な構成です。どこまでが真実で、どこまでが嘘なのか、たぶんラストシーンを見届けたあとでもすぐには解らない、なのにきっちりと衝撃をもたらす語り口になってる……それが、なんとなく解った気でやり過ごしてしまう一因にもなってはいるんですが。
 わりと込み入った話でも、1回鑑賞すればだいたいの構造は把握出来るほうなんですが、こればっかりは、きちんと描写を抜き出して、詳細な解説を書いてみたい気分。そこまでさせる魅力がある、確かにアカデミー賞脚本賞に相応しい傑作でした。
 ……それにしても、本篇の製作から25年以上経って、関係者に随分な変化があった作品です。監督のブライアン・シンガーはその後、《X-MEN》シリーズなどに携わってヒットメーカーになるも、『ボヘミアン・ラプソディ』製作終盤で突然降板したことによりボイコット癖が世間に知れ渡り、現在は新作の予定がまったく聞こえてこない。一方、脚本のクリストファー・マックァリーは本篇以降しばらく寡作でしたが、トム・クルーズに才能を認められ、ドル箱シリーズ『ミッション:インポッシブル』を連続で任され、次回作でも組んでいる。そして本篇でアカデミー賞助演男優賞を獲得したケヴィン・スペイシーは2017年に同性へのセクハラで複数の告発があったことで事実上の引退状態に……が、2019年の裁判で告発した男性が証拠隠滅を疑われたことで告訴取り下げとなったことが契機なのか、ここに来て新作の情報が出てきている。いずれにしても、観ていて若干モヤッとした気分になったことは否めない。
 しかし作品に罪はありません。やっぱりこれは傑作です。

 映画鑑賞のあとは、既に昼食は済んでいるため、すぐ家路へ――と言いつつ途中で家電店に寄り道して、プリンターのインクを買ってきました。通販で頼みゃ済むんですが、せっかく通り道にあるのだし。

コメント

  1. […] 原題:“The Usual Suspects” / 監督:ブライアン・シンガー / 脚本:クリストファー・マックァリー / 製作:マイケル・マクドネル、ブライアン・シンガー /  […]

  2. […]  11月4日のレポート。 […]

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