わたしたちはまだマトリックスの中にいる。

 乾燥はひどいけど、その代わり陽気はいい。バイクで出かけやすい……むろん非常に冷えますが、装備すればいいだけの話。このところ自転車か電車での移動が多かったので、乗りたい、という理由半分で新宿までバイクを走らせました。いちばん使いやすい駐輪場が空いていたので、余裕を持ってTOHOシネマズ新宿に到着。
 鑑賞したのは、1999年に製作され、その後のSF映画、アクション映画に革新をもたらした傑作の18年振りとなる続篇、“革命”を経て変質した《マトリックス》での新たな戦いを描くマトリックス レザレクションズ(字幕・IMAX with Laser)』(Warner Bros.配給)。画面の作りからして、黒の表現に優れたDolby CINEMAで観たかったんですが、私には合わない時間に上映してるので断念してIMAX with Laserにしました。
 半分とはいえオリジナルの監督であるラナ・ウォシャウスキー、それに脚本として『クラウド アトラス』の作者らが加わってますから、ただじゃ済むまい、と思ってましたが、想像以上にヘヴィなSF。旧作の要素を細かにちりばめているので、そもそも旧作をちゃんと観てないと解らないのは仕方ないにしても、かなり複雑な作りで呑みこみにくい。
 しかし、あれから18年も経ってリリースする新作としては正しい“深化”だと思う。安易に戦いを継続しても奇妙だし、前作の展開を踏まえれば、こういう変化はあり得る。そのなかで、単なる英雄譚に落とし込まず、個々の“選択”の物語に仕立てた。構想的には、私は評価します。
 ただ残念なのは、『マトリックス』第1作が一世を風靡した大きな理由である、革新的なアクション描写、という点では新しいインパクトを生み出せていないこと。序盤はともかく、後半はかなりアクション盛り沢山ですし、この設定ならではの特異な趣向も用意されてるんですが、いささか混沌としてしまったうえに、個々での新味も乏しいので、そちらに期待を寄せているとだいぶ肩透かし。
 不満の声もたぶん少なからず出るでしょうが、高いハードルが設けられているなかでここまで意欲的、挑戦的に作ったことは認められていいと思う。エンドロール後のひと幕は余計かも知れぬが。

 鑑賞後は例によってラーメン店へ……行こうとしたのですが、当初考えていたお店は、ひとつは特に貼り紙もなく閉まっていて、もうひとつはなんでか店頭がベニヤ板で塞がれている。けっきょく、この界隈ではいちばんよく立ち寄っている焼きあご塩らー麺 たかはしでお茶を濁しました。ここはいつでも安定の美味しさなので不満はないのですが、なんだかモヤモヤ。
 ちなみに、のちに調べてみたところ、前者は20日で年内の営業を終了(!)していたそうです。後者のベニヤ板で塞がれていたお店は先月、乗用車が突っ込んできて以来、営業休止しているそうです……この手のニュースが多いので最近はあんまり耳を貸してなかったんですが、まさか行ったことのある店だったとは。

コメント

  1. […] 原題:“The Matrix Resurrections” / 監督:ラナ・ウォシャウスキー / 脚本:ラナ・ウォシャウスキー、デヴィッド・ミッチェル、アレクサンダル・ヘモン /  […]

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