理想的な再映画化。

 3日連続の映画鑑賞です。しかし昨日と今日のはだいぶ前からほぼ予定は決まっていた。ていうか、可能なら一日にまとめたかった……しかし、今日の1本は母も絶対観に行く、と言っていたので、予定のすりあわせが難しすぎた昨日より、今日の方が都合がよかったのです。
 劇場はTOHOシネマズ日本橋。鑑賞したのは、伝説的ミュージカルをスティーヴン・スピルバーグ監督が再映画化、再開発計画が進むスラムで、対立する不良グループの男女が惹かれ合うことで始まるドラマを華麗に劇的に描きだしたウエスト・サイド・ストーリー(2021・字幕・TCX・Dolby ATMOS)』(Walt Disney Japan配給)。なにせ親子揃って封切を楽しみにしていたので、公開翌日に駆けつけた次第。日本橋にしたのは、交通の便の良さに加え、映像のクオリティよりも音響を優先したためです。
 ……さすがスピルバーグ。これは理想的なリメイクです。大前提であるミュージカル部分はすべて利用、しかし微妙に舞台や使いどころを変えることで、1961年版とは違う見応えを生み出している。緻密な舞台装置、役柄に適した俳優や言葉を用いて、当時を遥かに超えるリアリティを生み出している。
 思った以上に動きや人物配置を変えているんですが、作品の本質はまったく変えていない。むしろ、1961年版の不備を補って、流れがより自然に、かつ感動的になった。人物の心情描写が丁寧なので、中盤からラストにかけての共感、昂揚感が半端ではない。
 旧版プロローグのワンカット演出や開脚バランスといったトレードマークのような要素が外されたのがちと残念ですが、そのぶんダンス・シーンの舞台は広がり登場人物も増え、動きは緻密に派手になっている。ミュージカル映画としてのオリジナルの価値を認め、安易に踏み込むことなく現代的にスケールアップさせた作り。本篇を観たあとで1961年版を初めて観ても、まだ感動を味わえるはず。
 本当にリメイクとして完璧な出来映え。待った甲斐がありました。

 なおこの作品、パンフレットがお高めです。
 2970円。
 ふんだんな場面写真と多くの寄稿、そしてミュージカル・パートそれぞれを丁寧に解説していて、非常に見応えはありますが一瞬、心構えがないとたじろぎます。きのう、日比谷の映画館で値札を確かめて目を疑いました。
 今回、私と母で1冊ずつ買うつもりでいたのですが、さすがにこれを2冊買うのは躊躇われる。2冊買うくらいならサントラを買う――というわけで、珍しく鑑賞したその日のうちにサントラを仕入れてしまいました。
 私と同様、観た映画のパンフレットは買っておく、というスタンスのかたは、覚悟しておきましょう。

 鑑賞後は、以前しまね館の入っていたテナントに隣接していた島根料理のお店で昼食。てっきりおんなじところが経営しているのか、と思っていたのですが、どうやら違っていたようで、しまね館が日比谷に移転してもずっと残っていたらしい。
 ちなみに、しまね館の入っていた一画は未だ新しいお店が入ってません。なにせ移転がコロナ禍が始まる前後だったから、誘致が出来なかったのかも知れません。正面の自動扉に、しまね館の名残らしきステッカーがまだ貼ったままでした。

コメント

  1. […] 原題:“West Side Story” / オリジナル戯曲:アーサー・ロレンツ / 監督:スティーヴン・スピルバーグ / 脚本:トニー・クーシュナー /  […]

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