香港を見つめる七つの眼差し。

 大つけ麺博開催中は、とにかく新宿を軸に観に行く映画を選んでます……やってなきゃ仕方ありませんが、関心のある内容のものがかかっていればしめたものです。きょう選んだのは、だいぶ前から日本上陸を待ち望んでいたものだったので、悩む余地はありませんでした。
 久々に陽気もいいので、移動はバイクです……ただ、依然として歌舞伎町付近に駐めやすい駐車場を見つけられていないため、駅南口に近いところしか確実なところがない。今日訪ねる新宿武蔵野館にはとても近いのですが、大久保公園までは結構な距離がある……まあ、運動だと思って受け入れます。
 鑑賞したのは、カンフー映画全盛期から活動する重鎮サモ・ハン、『桃さんのしあわせ』のアン・ホイ、編集として『楽園の瑕』を手懸け監督としても活躍するパトリック・タム、『酔拳』から『マトリックス』の振付まで手懸けたレジェンドのユエン・ウーピン、『エグザイル/絆』などで国際的な知名度を誇るジョニー・トー、『友は風の彼方に』でタランティーノにも影響を及ぼしたリンゴ・ラム、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』を筆頭に香港エンタテインメントを牽引したツイ・ハークという、香港を代表する監督たちが香港の過去から未来までを描きだしたオムニバス七人樂隊』(武蔵野エンタテインメント株式会社配給)
 間違いなく、ある程度香港映画に親しんだ人は観るべき作品。1950年代から10年程度の刻みで当時の香港像を、それぞれの監督の個性も織り込んで描いていて見応えがあります。往年の香港映画を観たひとだと、キーワードやモチーフ、背景にいちいちピンと来るものがあって、終始楽しい。
 香港と、それぞれの時代を描く、という以外はなにも制約を設けていないので、アプローチは様々ですし、全体を貫くテーマというものは見えませんが、自由にしたからこそ、2時間弱で香港近代史がぼんやりと像を結んでいくような趣がある。一番楽しめるのは香港映画の知識が多少なりともあるひとでしょうが、たぶんほとんど知らなくとも、その空気は味わえるはず……まあ、そうなるとラストのツイ・ハーク監督作品がネックかも知れません。挙がってる名前はぜんぶ実在してるんですが、それが解らないとちんぷんかんぷんではなかろうか。
 バラエティに富んでいて、しかも1篇の尺が短いので退屈する隙もない。けっこう満足感のある作品だと思います。少なくとも私は幸せだ。

 鑑賞後は予定通り、大久保公園まで歩いていって、大つけ麺博にて昼食を楽しむ。平日、ししかも入れ替わりの都合で半分しかブースが開いてないので、前2回より人出は減ってる印象。でも全体的には盛況っぽい。
 食後、ふたたび歩いて駐車場に赴く途中。以前は確かカラオケボックスが入っていたはずのビルの1階が横浜ラーメンのチェーン店になっている。しかも隣も新しいお店のようで、店頭に花が飾ってあった。通りすがりに、花に差された名札を見て、一瞬、足が止まった。
 久本雅美に、出川哲朗?
 驚いて、店名を確認して納得した。オモロー山下のうどんの店でした。
 もともとうどん好きである私は、ず~っと関心を抱いていたけれど、私にはあんまり縁のないところにあったはずで、機会がなかった。しかしここなら、年に何度も立ち寄っている。近いうちに来てみようと思います……まあ早くても11月だが。

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