プログラム切替直後の火曜日は午前十時の映画祭12を観に行く日……たとえ、寒波が近づいててクソ寒くても。家に出る前にコートのボタンがひとつ取れても。
今回も電車にて赴いたTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞したのは、『カッコーの巣の上で』のミロス・フォアマン監督作、1967年、ヴェトナム戦争を背景に、当時の若者を熱狂させたカウンター・カルチャーを題材としたミュージカル『ヘアー(1979)』(日本ユナイテッド・アーティスツ初公開時配給)。
この映画祭では、選考委員のひとりである町山智浩氏による解説映像付上映というのをたまに実施している。これまでは、土・日のみとか限られた枠で上映されていたため、観ることが出来なかったのですが、今回は全日程で解説映像がついているようで、初めて観られました。あんまり思想に踏み込まず、必要な情報に絞って言及していて、非常に理解の助けになりました……もうちょっと、特殊な固有名詞についても触れて欲しかったんですけど、尺にも限りがありますしね。
実際、当時の社会情勢を知っていないとちょっと理解に苦しむかも知れない内容です。ヴェトナム戦争のための徴兵と、そうした態勢や既成概念に反発するカウンター・カルチャーの象徴たるヒッピーの存在。彼らの行動は、ただの反戦運動と捉えるにはちょっと無軌道すぎるのですが、時代の変化、価値観の変革という要素を踏まえて考えると、頷けるところが多い。他方で、この映画版が製作されたのは1979年、ヒッピー文化がチャールズ・マンソンらの事件を境に終焉を迎えてから10年以上が過ぎており、この運動の問題、現実的な成果の乏しさ、独善的側面にも触れていて、たとえば、より直近に製作された『いちご白書』と比べても冷静で客観的です。
しかし本篇の凄みはそれ以上に、ロック、R&Bを大幅に取り込んだミュージカルの躍動感、生命力にこそあるような気がします。物語としての趣旨は苦々しく複雑な印象を禁じ得ませんが、この時代の文化の持つパワーを感じさせて、その熱狂が伝わる心地がします。
わざわざ町山氏が解説を添えたのも納得の、ある程度は予備知識が必要な作品ですが、文化の熱気を刻みこんだ、という意味でも、ミュージカル映画の新たな展開を示した里程標としても価値は高い1本だと思う。表現として極めて洗練されていることも注目したい。
日本橋で映画を観たあとはふくしま館のイートインで食事をすることが増えてますが、今日は公式サイトのスケジュールに店舗の予定が載っていなかった。ふくしま館自体が休みなのか他の事情があるのか確認はしませんでしたが、立ち寄ることもせず、別のお店で食べることに。
寒いから久々のカラシビにしようか、とまずは目指してみましたが、このあたりでも屈指の人気店ゆえ、ちょうど昼休みの時間まっただ中のこのときはまだ列が長く、待っているとクラクラしてそうなので断念。
最終的に訪れたのは、神田 とりそば なな蓮。調べてみると、およそ10ヶ月ぶりです……そういや、初めて行ったときも物凄い寒さで、眼鏡の曇りと格闘しながら移動した覚えがあります。そういう巡り合わせなのか。
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