いちおう最終章っぽいこと言ってる2本立て。

 このところ作業が毎月のように立て込んでいて、映画のハシゴはなかなか出来ません。そもそも、透析を休むのは週1回土曜日と決めていて、他の曜日にハシゴをするには、スケジュールを調整して透析を休む日をずらさねばなりません。んで、ズラしたらズラしたで、次に休む日にもちょっと影響してきたりして、何だかんだと面倒でもある。
 しかし先週、今週は観たい作品があまりにも多く封切られてる。ちょっと気になる、程度なら諦められるのですが、これは絶対観たい、というのが多いのです。これを出来るだけフォローするためには、やっぱりこの辺でいちどハシゴせざるを得ない。そうでなくても今月は踏ん張らねばならないので、だいぶキツいものの、思い切って出かけることにしました。

 日中は作業とかを進め、午後に仮眠を挟んでお出かけ。残暑厳しく、今日はまだ晴天ですが、ハシゴするとバイクの駐車料金の方が高くつく……と思ってたんですけど、冷静に考えたら、今年春先から電車料金がちょっと上がった影響で、無料時間のある駐車場だと、ハシゴしても安上がりになる可能性に気づいてしまった。というわけでバイクにてお出かけ。
 ……陽気は確かにいい。しかし、夕刻の陽射しはバイク乗りにはしんどい。先日、新調した眼鏡はUVカットが入っているからか、以前よりは楽ですが、余分に神経を使い、まあまあ疲れました。これで駐車場が埋まってたら尚更にしんどいところですが、さすがに木曜の17時前なら空いている。
 まっすぐ映画館へ、は向かわず、まずは紀伊國屋書店に寄り道。今日が正式の発売日である京極夏彦の百鬼夜行シリーズ最新作『鵺の碑』を買ってきました。上野駅の三省堂で買うつもりだったんですが、紀伊國屋書店は通常の紙カバーに京極堂のロゴをあしらったものを限定でつける、という情報があったので、こちらを選ばざるを得なかった……ていうか、きょう新宿にまで映画を観に来た理由の半分くらいはこっちだったりする。無事に確保して、まずはTOHOシネマズ新宿へ。
 本日1本目は復活第2作、新宿のトラブルを解決するスイーパー・冴羽獠が過去の因縁と対峙するシティーハンター 天使の涙(エンジェル・ダスト)』(Aniplex配給)。前作は上野で観ちゃったけど、今回は聖地新宿で観ることにした。
 前作同様、時代が完全に現代にカスタマイズされてますが、今回もしっかり『シティーハンター』の世界です。しかも、わりと動線がちゃんと現実に沿ってるので、劇中にも出てくる現場で観てると臨場感が凄い。
 また、展開的にも当時ほどのムチャは感じません。肝心のキャラクターの造形に若干筋が通っていないきらいはありますが、しかし背負った過去とドラマが冴羽獠のそれと融合して生まれるクライマックスの感動はちょっと侮りがたい。過去のシリーズ然り、前作にしても然りで、獠の超絶技巧でねじ伏せられている感がありましたが、今回は仕掛けも相俟ってちゃんと説得力がある。
 絵のタッチも、北条司の雰囲気を残しつつ少し現代寄りになっているなっていることが往年のファンとして違和感を覚えるところですが、それも含めて、オリジナルへの愛着を留めつつしっかりと現代の観客にもアピールしようとする意欲を感じる力作。香のハンマーに“続篇希望”と書いてありましたが、たぶん興収や評判からしても可能なのではないだろうか。ていうか、あからさまに作る気マンマンなのは解るから、こんどは4年も待たさないでね。

 鑑賞後、今度は新宿ピカデリーへ。ふだんなら夕食を摂る時間ですが、そこまでの余裕はないので、コンセッションにてドリンクとともにフライドポテトを購入することに。久々に訪れたら、コンセッションの会計がタッチパネルの券売機になっていて、発行された番号が呼び出されたら受け取りに行く仕組みになっていた。これ、映画館では正しい取組みかも知れません。混雑していても、列というかたちで動線の妨害をせずに済む……ただし、今日くらいだから問題を感じなかっただけで、本当に混雑したときに大丈夫なのかは謎。人が集まりすぎると厳しいかも。
 鑑賞した本日2本目は、一部でカルト的人気を誇るフェイクドキュメンタリー形式のホラー8年振りとなる新作、無謀な配信者たちが撮影した異様な動画の背景を探ろうとした《コワすぎ!》シリーズのスタッフが想像を絶した恐怖と対決する戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』(ALBATROS FILM配給)
 ……とりあえず、突入する廃墟が完全に『カメラを止めるな!』と一緒なのに笑ってしまった。たぶん、途中からカメラ1台の擬似ワンカットで物語が展開することにあやかったのだと思われる。
 白石晃士監督が以前にも挑んでいたワンカット方式を掘り下げ、より不可解な世界へと観客を誘う仕組みが巧い。怖さ、という意味では冒頭の配信者たちによる映像がピークですが、《コワすぎ!》らしい、ホラーのガジェットを狂騒的にエンタテインメントに昇華させる手法は健在です。
 このシリーズに限らず白石監督作品はキャラクターがやたらと立っていることでもお馴染みですが、その点でも相変わらず。工藤や市川にはコロナ禍含む時間経過を織り込みながらもやっぱり本質は変わってないし、全員(暗い過去に起因しているとはいえ)クズの配信者にやたらと味のある霊能者、そして終盤から加わる意外な援軍まで、やたらと個性的です。ひたすら繰り返す異様な事態と妙な展開に、もうただただ楽しい。
 これもあさっての結末に、正気を疑うようなエンドロールまで、《コワすぎ!》らしさが横溢する濃密な1時間18分。シリーズの昔からのファンが楽しめるのは確実だけど、予備知識なしで急にこれだけ観ても「何だこりゃ」とハマるかも知れない。監督本人は「これが最後」みたいなことを言っているそうですが、果たしてどうかな。許してもらえるかな。
 それにしても、まさか新宿ピカデリーでいちばんキャバの大きいシアター1で上映するとは思ってませんでした。そうとは気づかず、最初にチケットを購入しようとしたとき、うっかりプラチナシートのところをクリックしてしまった。なにせ私がここで観る作品はマイナーなもの、ミニシアター寄りの作品が多いので、だいたい上の方のキャパの小さなスクリーンなものだから、スクリーンサイズにまで戸惑ってしまった。明日からはもうちょっと小さいスクリーンに移るので、今日までのお楽しみだったらしい。

 鑑賞後はまっすぐ帰宅。強行軍ゆえの疲労感は著しいですが、ほんとーにそれぞれの世界が好きな人への情熱を詰めこんだ2本立てだったので、充実感も強い……でもやっぱり疲れた。そもそも新宿は劇場同士がわりと離れてるし、ふだん使う駐車場も位置的に遠いので、移動だけでけっこう消耗するのよ……。

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