映画は月明けまでお預け、というつもりだったんですが、透析中に観るテレビ番組がなかったので、ちょうどこれが配信されたのを幸い、観始めてしまった。
言わずと知れた北条司の人気漫画を、現代に舞台を移し、鈴木亮平主演にて映画化した『シティーハンター(2024)』です。凶暴化し人間による騒ぎが繰り返される事件に、街のスイーパー・冴羽獠が挑む。
鈴木亮平というキャスティングと最初に示されたキーヴィジュアルで惹かれ、予告篇で更に膨らんだ期待に、完っっ璧に応えた、理想的すぎる映画化でした。
時代を現代に移し、原作やアニメ版の当時にはなかった風俗も取り込みながら、作品の魅力は見事に再現してる。ストーリーも原作序盤の、巨大組織との最初の衝突を下敷きに、けっこう大胆に脚色しながら本質は変えていない。冴羽獠のコミカルな面やスケベっぷりまでも実写や現代の基準に照らして許容できる範囲で再現し、なおかつ獠の凄腕っぷりを超絶技巧のアクションで表現する。冒頭数分間のアクションだけで、もうほぼ心を鷲づかみにされました。
物語としての再構成も文句なし。何だかんだ言って昔の少年漫画ゆえ、シチュエーションの面白さ、格好良さを優先して、色々と無茶な部分もあるんですが、それをうまい具合に呑みこんで、きちんと『シティーハンター』という作品世界に填め込んでいる。特に序盤の悲劇と終盤でのドラマはけっこうな変更点なんですが、1篇の映画としてまとめるうえで見事だと思う。
何より、きっちり現代の新宿で撮影しているのが嬉しいところ。見事に現代の歌舞伎町界隈の風景が織り込まれ、追跡劇も可能な限り現地で組み立てている。
一部の台詞回しに神谷明の雰囲気まで取り入れてしまった鈴木亮平の獠はもちろん最高ですが、安藤政信によるヴィジュアルや柔和な雰囲気も納得の槇村、現在放送中の朝ドラの兄嫁役でありながらまったく違った香のイメージを再現した森田望智も素晴らしい。木村文乃の冴子は若干物足りないのも事実なれど、及第点だと思う。
きちんと1篇の映画としてまとめたのも高く評価出来るポイント。しかし、出来るならキャストが雰囲気を壊さず演じられるうちに続篇をリリースして欲しい。願わくば次は海坊主もお願いします。これについてはフランス版ほどの再現度はさすがに厳しいでしょうけれど(あれは完璧すぎた)、このスタッフならきっと出来る。
……とアップした翌日。
どうも、海坊主もちらっと登場していたらしい、という情報をあとから掴んで、早送りしたり巻き戻したりして確認してみた。
……確かに、それらしいキャラがいた。
恐らくコレかな、と思われるのは、中盤あたりの回想シーン、端っこにチラッと登場する人影。ただ正直、ここはなかなかに気づきにくいと思う、話の流れ的に。
ただ、演じたご本人の写真を見る限り、ヴィジュアルはほぼ海坊主のまんまなので、続篇があるならばガッツリと出演する糊塗を期待したい。
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