大久保公園入口上に掲示された大つけ麺博 presents 大つけ麺博,秋の新作ラーメン祭 看板。
今年もこの時期がやって来ました。秋の恒例、大つけ麺博です。これの開催期間だけ、普段は映画鑑賞の拠点をほぼTOHOシネマズ日本橋にしているのに、TOHOシネマズ新宿を中心に新宿界隈に移すくらい楽しみにしています。
ただ、正直に言うと、今年はあんまり乗り気ではありません。なにせテーマが“秋の新作ラーメン祭”、そのタイトル通り、参加店舗はすべてレギュラーメニューではなく、このイベントのために開発した新メニューを投入している。
その意欲や情熱は素晴らしい、と思う一方で、こうした催事は、なかなかそのために出かけられない遠方のお店の味が一挙に楽しめる、ということにある。一部が特別メニューにしたり、仕込みの都合でマイナーチェンジしていたりしても、基本的には本来の味を体験させてほしい。
しかも、“新作”という表現に躍起になったのか、レギュラーメニューは豚骨ベースなのに鶏メインにしてたり、全般にだいぶ攻めている。そういうなかに美味しいメニューと巡り会えば嬉しい、と思うものの、あとで実店舗に行っても食べられない切なさがまたあるのです。今回は、どの店舗を選んだとしても、たとえそのお店の味がよかったとしても、実店舗の味にハマるとは限らない。
……まあ、そんなこと今更グチグチ言っていても仕方がないし、たとえ限定メニューでも美味しければ実店舗に興味が湧くし、レギュラーメニューが気に入れば良し、イベントでの評判や、仕込みの面で問題がなければレギュラーメニュー入りする可能性だって秘めている。そこに賭けて楽しむとします……
……どっちにしても、今年は色々と都合があるので、そんなに足を運べない可能性が大きいのですが。とりあえず食券3枚は確保したから、3回は来るけど。
あれこれ言いながらも、事前に公式サイトを確認し、候補は考えている。あとは、あとのイベントを考慮して、列の長さや調理方法から、どの程度時間がかかるか、そもそも食べてみたい味か、をその場で検討することにしました。
ラーメン祭なのでラーメンが多いのですが、大つけ麺博らしくつけ麺で始めたい。2店舗で迷い、最終的にはこちらに決定。
いただいたのは、麺屋こうじの金目鯛の濃厚つけ麺。トッピングは、500円で半熟玉子や鶏チャーシューなどがまとめて盛られるものが出てましたが、個別では提供していないらしい。先週の疲れが抜けないのか、そこまで食欲が湧いてないので、今回は遠慮しました……ちょっと惜しかったけど。あと、メインがどう考えても原価率無視なので、プラスして少しでも還元してあげたかったけど、胃が辛い。
ひとまず麺だけ啜る。これだけでも旨い。風味が確かにあって、腰の強さと滑らかさの食感も良し。つけ麺の主流である極太麺よりは細めだけど、とてもつけ麺らしい。
続いてつけ汁に漬していただく。金目鯛のみをひたすら煮込んで仕込んだつけ汁はドロドロ、麺にしっかりとまとわりつく。味は、つけ麺の主流である魚介のガツンとした力強さがある一方で、その奥にはっきりと鯛の風味が土台を作っている。魚独特の臭みなど一切なく、ひたすら旨味のみ。つけ麺のつけ汁、という役割故、どうしても塩味が強いのですが、なにせつけ麺だから、漬す量を変えれば味の変化はつけやすい。私は主に半分くらい漬して、麺の甘みとバランスを取りつついただいてました。
具材は薄切りのチャーシュー1枚と、細切りのメンマがちらほら、そして1/4くらいの海苔が1枚。麺に添えられた海苔以外は、濃厚なつけ汁に浸りきって、どこにあるか解りません。チャーシューの程よいしっとり感と肉の風味、メンマの歯応えが麺の食感を邪魔せずアクセントをつける感じはきっちり考えられてますが、個人的には、メンマはともかくチャーシューは麺に載せて、こちらもつけ汁に漬す加減を食べる人が調整出来るようにして欲しかったかも。パンチの強いつけ汁を纏っていても、肉の味わいがはっきりと感じられる仕込みはさすがなんですが、なにせ私は、トッピング断念するくらいには胃が疲れている。こちらもつけ汁を絡める量が調整出来ると嬉しかった。
トレイの隅にある、薬味などを盛る小さなスペースには、柚子の皮と思しい切れ端などが入っている。途中で酸味を追加するのかな、と思って、半分ほど麺を平らげたところでつけ汁に投入してみましたが、これは正直、あまり変化を感じませんでした。使い方、間違ってたかも知れません。もうこれをアップする時点で出店終了間際か、なんならスープ切れで終わってる可能性高いですが、万一復活して食べる機会があるなら、お店の方に確認した方がいいかも。
トッピングを加えなかったため、具材の変化がつけられませんでしたし、やっぱり胃弱の私には濃かったのですが、それでも最後まで食べられる。残ったつけ汁に、ブースでスープ割りを投入してもらうと、濃厚な鯛スープのようで、塩分摂りすぎてるな、と思いながらも止められず、飲み干してしまいました。
体調を気遣い、実際に重たさに悩みながらも衝動的に完食してしまう、そのくらい美味しい。本当に、素人目にも原価率が大変な代物なので、催事での出店は今後なさそうですし、仮に実店舗などで復活したとしても、いいお値段になりそうですけれど、それでも機会があるならもう一回食べてみたくなる逸品。私にとっての大つけ麺博2025最初の1杯として、最高だったと思います。
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