どんどん延びていく。

 一昨日、『ナイル殺人事件』と『フリー・ガイ』の全米での公開延期が発表されました。
 まあ、致し方のないところではある。『TENET/テネット』の興収が、全世界的には好調ながら、肝心の北米市場では芳しくない。あれだけ評価が高くてもこの有様ですから、資金を大量に投じた作品ほど、採算が取れるか微妙になってくる。劇場がきちんと稼働出来るようになってからかけるか、最悪、配信へ移行するしかない。
 アメリカ国内については、その判断にケチをつけるつもりはないのです。しかし、日本にいる映画好きとしては、その判断がこちらでの公開スケジュールにも影響してくるのが辛い。『鬼滅の刃』の効果もあって、いくぶん観客が映画館に戻り、それに合わせて座席数の制限もじわじわと緩和されてきているのですが、こうしたアメリカ側の判断によって、洋画の大作がなかなか封切られなくなってるのです。
 いちどはこの時期に延期を決めていた『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』も既に更なる延期を決めていますし、私は前作を観てませんが、世間的に人気の高かった『クワイエット・プレイス』の続篇に至っては、予定が白紙にされて半年、未だに“近日公開”の表記のままになっている。
 私はもともと海外のミステリやサスペンス、ホラー系が目当てで映画館通いを始めた人間です。邦画でも気になったものは見ますし、オリジナルの長篇アニメなんかは今後も作られて欲しい、という願いも籠めてなるべく拾うようにしてますが、この状況になるとどうしても観たい作品は減ってしまう――なにせ私が好きなタイプの作品は、大作の埋め草みたいに出てくることが多いので、大作で詰まってしまうとなかなか届けて貰えないのです。前述の『クワイエット・プレイス PART II』なんかがまさにその好例。
 最悪、配信になっても、できる限り観るつもりではいますが、よく利用するようになったからこそ余計に、映画館の音響でこそ味わえる醍醐味もある、と改めて確信するようになった。大作を映画館で楽しめるときが早く訪れるのを、ただ願うほかありません。

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