『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女』クリア。

 ……ゆっくり遊ぶ、って言ってなかったか、と? ええ申しておりました。映画感想もすっ飛ばして進めてしまいました……だって、思ってた以上に遊びやすかったんだもん……そもそも、後年のAVGよりシナリオのヴォリュームは少ないしね。

 演出は細やかになり、カットも多彩になってましたが、基本的な筋は完全にオリジナルのまま。それ故、なぁんにも悩む必要がありませんでした。台詞をなるべくすべて聴くようにしても、けっこう早かった。
 ただし、如何せん古いAVGの体裁そのまんまなので、いわゆる“コマンド総当たり”でないとクリア出来ない。さすがに、どのコマンドを選んだら次に進むのか、完全に覚えているわけではないので、あちこちで立ち往生してました。しかし、惨劇続きで気力を失った執事・善蔵に奮起してもらうくだりは、普通なら絶対に思いつかないコマンドを使うので、却って鮮烈に覚えてたりする。
 本当にテキスト的にはベタ移植であるため、その後色々なミステリに接して知識が深まってしまうと、本篇の謎解きや仕掛けは随所でかなり雑。たとえば『消えた後継者』、最初の件はともかく、幾つかの殺人においては、検死の段階で違う結論が出ないとおかしい。警察が探偵に寛容すぎるのはまあいいとしても、この辺の不自然さはどーしても違和感を覚えてしまった。いまにして思うと、その辺『うしろに立つ少女』のほうはあまり破綻はなかった。
 とはいえ、もともと低い年齢層も遊ぶゲームとして製作されたものですから、あんまし細かく言うのも野暮というものでしょう。何より、随所で事件が起き、オカルトめいた恐怖を誘う展開から、終盤のあまりにもドラマティックな解決篇に至る勢いは素晴らしい。『消えた後継者』はほとんど筋を覚えてるのに、それでもちょっと感動したものでしたし、『うしろに立つ少女』はクライマックスの怒濤の展開と演出を、圧倒的緊張感とスリルを増幅した最高のかたちでリメイクしてる。

 もしかしたらリメイク版独自のエピローグでも添えたりするのかしら、と勘繰ってましたが、それもなく、ラストもオリジナルの流れを、美麗なヴィジュアルで彩るに留めている。その節度も快い……でも『うしろに立つ少女』のラストは余計かも知れない。あの趣向は確かに旧版、遅くともSFCリメイクでは存在していた覚えがありますが、なんか間違った遊び方に導いてる気がしなくもない。あのハート増やすとなんかあったんだっけ?
 何にせよ、新規のユーザーが楽しめるかどうかは謎、ですが、往時にどっぷりハマった層には納得のいく仕上がりだと思います。少し間を置いてから、また頭から遊ぶことにします。
 ……願わくば、続篇も遊びたい気はするんですけどね。リリースされた媒体が特殊すぎて遊ぶ機会の得られなかった幻の第3作でもいいですし、もちろん完全新作でも。

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