安定してるけど、しすぎでもある。[レンタルDVD鑑賞日記その800]

 2月26日に、2021年5月リリースの『呪われた心霊動画XXX 傑作選5』を鑑賞。取材中から奇妙な態度を示す人物が持ち込んだ映像とその顛末《マリアナ・ウェブ》、怪奇現象が起きる、という噂の道を巡る《0時》ほかの連作、祖父の部屋を整理した際に見知らぬ人物の写真を発見したことから投稿者を襲った怪異を記録する《死人合わせ》など、全9篇を収録。
 えらい久々に傑作選を鑑賞。他のシリーズと比べ、ここは各巻のクオリティが非常に高いので、傑作選は桁違いに見応えがあるのです。通常より5割ほど長い1時間半という尺が重たく感じるくらいに。
 ただこのシリーズ、弱点として、しばしば1巻の中で繋がりのあるエピソードを収録している。この傑作選でも、1本では伝わりにくい連続ものをまとめて収録してます。正しい判断だ、とは思う一方で、関連性が浮かび上がってくる怖さ、醍醐味は、1巻の中で分散して収録し、じわじわと気づかせることにこそあると思うし、それこそ各巻を別々に観る面白さだと思うのです。ベストでまとめて収録されると、最初に発表された巻を見る際に醍醐味が薄れてしまうし、微妙に損をした気にもなる。やっぱり“ベスト”には、単品で成立する映像を収録して欲しい。今回収録された、ひと繋がりとなる3本のエピソードは、どうしても切り離せなかった、と承知はしつつも。
 と、厳しめに書くのも、それくらいこのシリーズへの期待感は強いからです。事実、この傑作選も全体としてのクオリティは極めて高い。最後に提示される異様な映像よりも、きっかけとなる映像を持ち込んだ人物の言動が充分に怖い《マリアナ・ウェブ》、一見何の変哲もない路地で起きる怪異を複数の出来事から見せる連作、そして巻末の《死人合わせ》、《スピーカーフォン》、《空白の時間》は、投稿者の行動こそ珍しいものではないですが、展開が素晴らしくユニーク。私が大好きな“嘘でも許せる”秀作ばかりでたまりません。
 ……ただ死、あまりにも隙なく質が高すぎて、観ていてちょっと疲れるのも確かだったりする。もうちょっと気の休まる暇が欲しい。通常巻にはしばしば、不気味だけどそこまで怖くない、とか投稿映像よりも映像の関係者の言動が変だったり妙な展開を見せたり、と脱力するようなエピソードもあるんですが、あれはあれで必要らしい。贅沢な悩み……というか、このクオリティを、同じレーベル内の別シリーズにも分けてあげて欲しいくらいだ。

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