背景はいいんだけど。[レンタルDVD鑑賞日記その809]

 4月12日に、2022年12月リリースの『心霊闇動画72』を鑑賞。映像作品のロケハンで廃墟を訪れた際に撮影した怪異の数々《入れなかった廃墟》、帰省中に友人の協力を得て行ったライブ配信で奇妙な出来事が発生する《友達の実家》、夜の河川敷、トイレから聞こえてくる泣き声を不審に思って調べた男女が怪異に遭遇する《泣き声》など、全6篇を収録。
 それぞれの映像が撮影されるに至った経緯はおのおの一風変わっていて工夫が見られる。しかし肝心の、映像として記録された怪異が、ジャンル分けが容易なくらい定型化してしまっていて、全般に意外性がない。一時期の、スタッフが投稿者や関係者とともに撮影場所に赴いて検証する、という趣向もすっかりなりをひそめてしまった……あの時期どうして、演出補の尾崎香仁が昇格していたのか、何故間もなく大門孝雄が演出に復帰したのかもやっぱり事情が解らぬ。
 以前に比べて、シチュエーション自体はちょっと変化が見られるようになりました。単純な廃墟探索ではない《入れなかった廃墟》、近年増えたライブ配信というシチュエーションにひねりを加えた《友達の実家》など、映像そのものはわりとありがちに思えても、背景はそれぞれに独自性があるので、ちゃんと観るとまあまあ楽しめる。
 ……が、肝心の映像自体はそれほど特異ではないので、結局のところ、全体の印象は突き抜けたものがないのです。演出補・尾崎が一時的に演出昇格していた頃のような、撮影現場での検証や取材が入っていれば、もーちょっと見応えが出そうなものなのに、基本的に事務所内でのインタビューと演出補のひとり語りで済ませてしまっているのは勿体ない。絵変わりがしないので余計に似たり寄ったり巻が強まりますし、正直あんまり語りの巧くない演出補が喋っているせいで締まりがなくなってるのも、エピソードそのものが持っているポテンシャルを無駄遣いしている感が強い。
 ず~っと月1本リリースを続けており、このやり方でないと間に合わない、という事情もあるのでしょうが、私はやっぱり「間隔もっと空けろよ」と言いたくなる。ネタの良さが無駄になってるとしか思えないのだよなー。

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