いま、彼女はどこにいる?[レンタルDVD鑑賞日記その826]

 7月19日に、2022年3月リリースの『呪われた心霊動画 XXX_NEO 17』を鑑賞。マッチングアプリで知り合った恋人との初めての旅行で起きた怪異を捉えた《シンデレラ》、夫婦で散策に出かけた緑地公園で、あり得ない現象を撮影してしまった《スカイウォーカー》、念願叶って手に入れた新築住宅に投函されたビデオテープと、それがもたらす災厄を追った《マイホーム》など、全5篇を収録。
 久々に、いまいちばん信頼できる奴が届きました。他のシリーズはときどき悪くないのがある、という程度ですが、ここは高レベル安定で、なおかつときどき強烈な大ヒットを放つ。本当に、素直に期待出来るシリーズです。
 そして今回も裏切りません。それぞれのエピソードが不気味で、しばしば衝撃的な結末を迎え、なおかつ全体が緩やかに繋がっている。
 1本目《シンデレラ》から既に優秀です。映像そのものも不気味ですが、そこに至るまでの映像やインタビューで明かされる背景、顛末がまた染みこむように怖い。しかもこの話、テロップなどでは触れられてませんが、怪奇映像ではなくインタビュー映像の方に不可解なものが映っている。それに気づいたとき、更に慄然とします。他にない、というタイトル含めて、単品でも充分に完成された1本。
 今回、他に収録された4篇も、このエピソードと登場人物、舞台に直接の繋がりはないのに、しかし内容であったり、何らかの要素がリンクしていて、おぼろに透けて見える全体像が更におぞましい。怪異そのものはそれほど似ていないけれど、インタビューの話から《シンデレラ》との関連がちらつく《スカイウォーカー》、後者の追加取材で訪れた土地で発見した奇妙な場所についての《転ぶ道》、映像として提供された怪奇現象は他のものと似通った点がないのに、登場人物の言動が否応なく不気味な記憶を蘇らせる《肌を這う》、そして他のエピソードでちらりと仄めかされた出来事の全体像が克明に描かれていく《マイホーム》。
 これらがひとつのシリーズに綺麗に集まっていく不自然さ、基本的にはよく練りこまれていますが、若干しっくり来ない反応が見られるのが難点です。しかし、トータルでのクオリティは依然として高い。こんなに、1本通して鑑賞する甲斐を感じるシリーズもちょっとないのよね。ゆえに手間がかかるのか、リリースのペースはさほど早くありませんが、長く続いて欲しい。

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