『ARIA The CREPUSCOLO』公開記念舞台挨拶ライブビューイングつき上映 at TOHOシネマズ上野。

 テレビシリーズから10年を経て奇跡的に復活した『ARIA the AVVENIRE』から5年、その後のネオ・ヴェネツィアを描いた続篇ARIA The CREPUSCOLO』(松竹ODS事業部配給)がふたたび劇場公開です。こういう御時世なので、たぶん舞台挨拶のライブビューイングが実施されるだろう、と踏んでましたが案の定、私にとっていちばん利用しやすいTOHOシネマズ上野でも上映される運びとなったので、発売を待ち構えてチケットを確保しました。夕方16時からの回、は私には時間が浅すぎるので、18時25分からの回を鑑賞。
 登壇者はアリス役の広橋涼、アーニャ役の茅野愛衣、灯里役の葉月絵理乃、アリシア役の大原さやか、アリア社長役の西村ちなみ、そして佐藤順一総監督に名取孝浩監督という面々。
 16時からの回は本篇上映後ですが、こちらは上映前につきネタばらし厳禁。それゆえに皆さん隔靴掻痒の趣でしたが、しかし和気藹々とした雰囲気は伝わる。冒頭で、声優陣によるにゃんぷぅ体操のお披露目もありました。
 前作の上映時と同じく、キャストも監督らも口にしていたのは、作品が如何に愛されているか、という点。たとえ間が空いてもきちんと思い出してくれるひとがいるし、前作が好きだった、というひとが新たにスタッフやキャストに加わったりする。常に空の上にあって、優しく迎え入れてくれるネオ・ヴェネツィアという作品世界に愛着を持っているひとがたくさんいるから、この再会に結びついた。
 今回、物語のメインは旧シリーズの主役である灯里が所属するアリアカンパニーではなく、アリスたちオレンジぷらねっとの面々。にも拘わらず、中心となるはずのアリスを演じる広橋涼は、キャストでいちばん最後に今回のプロジェクトを知ったらしい。舞台挨拶の楽屋で判明して、ショックを受けていたそーです。
 また本篇のポイントは、アリスの指導者にあたるアテナが“喋る”ということ――このアテナ、歌の名手で今やオペラ歌手として人気を博している、という設定で、テレビシリーズにおいては川上とも子がふだんの声を当て、歌声を河井英里が当てていましたが、前者が2011年に、後者が2008年に逝去している。今回、佐藤利奈がアテナ役を継いだことで、ようやく蘇ったわけです。3人分の魂を籠めたアテナに注目して欲しい、と大原さやかが特に熱弁してました。
 西村ちなみがアリア社長の言葉を使ってネタばらしをしてみたり、と細かな笑いも挟みつつ、あっという間に舞台挨拶は終了。充分に期待を高めたところで、いよいよ本篇です。

 たっぷり高めた期待にしっかり応えてくれる、従来のシリーズを追ってきた者にはただただ幸せが続く1時間でした。
 いささかわざとらしく、あまりにも「恥ずかしいセリフ」が多いのですが、それが実に『ARIA』らしい。そして、実在するヴェネツィアを模した街の光景の美しさに、そのちょっと芝居がかったやり取りがしっくり来る。
 前述したように、今回のメインはオレンジぷらねっとの面々……ですが、それゆえに視点人物が随所で入れ替わる。アーニャ、アリス、アテナ、そして本来の語り部である灯里、と交互にモノローグを担当する、というやり方はあまり洗練されているとは言いがたいのですが、しかしこれだけキャラクターと世界観を揃って愛される作品の場合、それぞれの心に触れることの出来る表現はむしろ心地好い。特に、前作でも重要な役回りを果たしているのに、新しい台詞のなかったアテナがたっぷりと心情を、それも川上とも子の演技に強く寄せて語るさまは、正直、ファンとして目頭が熱くなるのを止められませんでした。
 悪人はまったく登場せず、快くポジティヴなメッセージを直向きに投げかける、本当に幸せな気分にさせてくれる作品でした。前作の感想で、私は『ARIA』を「幸せなシリーズ」と評しましたが、その幸せはまだ続いてます――そして本当にまだ次があるらしい。

 上映終了は20時、まだ東京は緊急事態宣言のさなかなので、もうどこも閉店してしまっている。当然のようにまっすぐ帰宅し、自宅にて夕食を摂りました。

コメント

  1. […] 原作:天野こずえ『ARIA』(マッグガーデン・刊) / 総監督&脚本:佐藤順一 / 監督:名取孝浩 /  […]

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