“行って、その人のようにしなさい”

 週末である。映画鑑賞である。今年31本目である。もう止まりません。

 本日は二本の候補いずれを観に行くか朝起きた時点でまだ結論が出ず、腹を括ったのはもうどちらを観に行くにしても出発しないと初回には間に合わない、という時刻。電車に乗って、恵比寿へと赴く。以前はちょっと映画へ、という距離ではないと思っていたのに、最近は屁でもありません。ミニシアターもののほうが注目作は初日は混む、というのがいい加減解ってきたので、用心のため到着時間を早めに見繕って訪れましたが、十時頃に到着した時点で整理券待ちの列は解消しており、半券に押された番号も比較的早め。助かるけどちょっと切ない。

 ものは、ようやく実物と相見えることが出来ました、『悪い男』『春夏秋冬そして春』などで世界的な評価を獲得しつつある注目の韓国映画監督キム・ギドクの新作、サマリア』(東芝エンタテインメント・配給)。初体験の感想はというと――確かに凄い。凄すぎて言葉が見つかりません。画家出身監督だけあってさりげなくも美しいカメラワーク、ひととおりの解釈のみでは済まされない豊潤さを湛えたダイアローグ、そしてあまりに儚く残酷な物語。聖書の“善きサマリア人”から来ている題名のせいばかりではなく、一種宗教的で哲学的で、一口では語り尽くせない深みのある作品でした。韓国映画は良くも悪くも直接的に情に訴えるものが多すぎる、というイメージがある(故にあんまり私には合わない、と感じていたのです)が、これは感情移入はさせても安易な感動では完結させない力強さがあり、映像的にも物語的にも極度に成熟している。なるほど注目されるわけだ。本日はこのあともういちど出かける予定なので、詳しい感想は明日以降こちらに記すつもり――ですが果たしていま書いた以上のものが出てくるかどうか。本気で書き始めたら収まりがつかなくなるような気がしてます。俄然旧作も観たくなってきた。

 行き帰りの車中で本を一冊読み終えましたが、それに言及する時間ももうありませぬ。じゃっ!

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