『まんが日本昔ばなし』第三回

 一話目は定番中の定番、『こぶとり爺さん』。とある村に、頬に大きなこぶをこさえた爺さんがふたり。人柄の良い一方がある日、山中で雨宿りをしているうちに夜が更けてしまった。気づけば近くで鬼の一同が宴を開いていて、暢気な爺さんがつられて輪に交ざると、話は意外な方向へ、という話。むかし見ていたときはほとんど意識してませんでしたが、毎回絵柄も表現の仕方も違うのに感心することしきり。決して動画の枚数は多くないのに、ちゃんと動きが出るように工夫していることにも。女の子らしい鬼のさりげない所作が面白かった。

 二話目は『風の神とこども』。風の神に連れられて山奥へと遊びに行った子供達だが、気紛れな神様が立ち去ってしまったため、夜更けの山道を子供達だけで帰ることに、という成り行き。一種の、神隠しに纏わる民話でしょうか。気紛れで子供達を連れていってそのまま置き去り、という感覚は却って昔の神々に対する観念を伝えている気がします。まだしも教訓めいたものがある『こぶとり爺さん』に対して、こちらは自然に対する畏敬を受け継ぐために育っていった話のように感じられます。南風と北風の性格作りがけっこうそれらしくていい。

 たぶんはじめから名作ばかりを選んでいるのでしょうが、それにしても観ていて安心感のある番組です。下手な新作を観るよりずっと楽しいかも知れん。

コメント

タイトルとURLをコピーしました