新耳袋トークライブ45

 昨晩、『逃亡者・木島丈一郎』を観てからの出来事。

 電車にて、わき目もふらずに新宿へ。今年最後となる新耳袋トークライブ鑑賞のためであります。もはや毎度お馴染みのN氏に作家のK氏、そしてここしばらくはお仕事の都合で不参加になることが多かったF氏も見えて、四名にて参加してきました。そろそろ寒さも本格的になる、と言われて覚悟していたのですが、予想していたほどではなくちょっとだけ安心。

 十二時半から開始。本日は中山市朗氏が都合で来られなくなり、ひとりじゃ五時間近くは保たない、と木原浩勝氏が招いたのは、以前に大物エピソードを提供して以来、事実上弟子扱いをされているI氏。とはいえかなり急な出来事だったようで、木原氏もI氏も「本当に大丈夫か?」とはなはだ心許ないことを口走りつつのスタート。

 まず冒頭で前回紹介し損なったという、一風変わった心霊写真*1を御披露目。何気なく眺めるとそのまま素通りしてしまうような類の写真ですが、しかし異様なことは確か。ざっと愛でたあと、先日中山氏とともに訪れた某所でI氏が撮影した写真も登場……のはずが、パソコンからなかなか発見できずに先送り、代わりに木原氏と交互に小振りなネタを並べる。小振りとはいえ、多視点で綴られる旅館の話はなかなか興味深いものがありました。

 休憩を挟んでの第二部は、木原氏が仕込んできたばかりの大ネタを披露。しかし――これが結構きつかった。確かに話としては異様、新耳袋の著者でなくてはたぶん扱いきれないタイプの内容であり、興味深いのは疑いありませんが、しかし出来事のひとつひとつがバラバラに散らばっているため、整理がしづらい。実際木原氏自身、苦慮の挙句に思いつくまま、なるべく聞き出した順序に従ってエピソードを紹介していく、という処理を選択したほどで、全体像がなかなか掴めない。終盤まで辿り着いてみれば因果の源が透き見えてきて、かなり不気味な寒気を覚えましたが、正直そこまではちょっと辛かった。同行のお三方もかなり眠そうでした。

 もうひとつ休憩を挟んでの最終部では、もう完全にネタ切れの木原氏がせっつくのに合わせて、I氏がネタ披露。ちゃんと怪談になっているものはない、と言いつつも、目撃談が確認されたというスポットについて触れる際になかなかインパクトの強いエピソードを出してきたり、それ以前にI氏の住んでいる家が結構凄かった、という成り行きになって、予想外に湧きました。怖い話ばかりを集中的に披露するとパニックを起こす観客が出る、という理由から、ライブでは笑いを交えることを旨とする木原氏の弟子であるだけに、笑いを取る話術にだんだんキレの出て来たI氏ですが、このひと幕はやりすぎでした。面白すぎます。窓の外の人は怖いけど。

 最後に、記念すべき完結巻を出版した年の締め括りらしくちょっと真面目な話もして、お開き。まだ暗い空に年の瀬を実感しつつ家路に就いたのでありました。それにしても、ライブ自体はとうぶん続く様子ですが、本自体はどうするんだろうなー。当面は『幽』や、色々と暗躍しているらしいI氏が絡んだ本も出るみたいなので、飢えるようなことにはならない気がしますが。

*1:木原氏も言っていましたが、私もこの“心霊”という誤解を招く飾りはどうにかしてほしいと思ってます。が、代わる言葉もまだなさそうなのでひとまずそのまんま。“怪奇写真”ではいかがわしさばかりが強調されるからな〜。

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