『僕の歩く道』第七話

 塾の模試で、答がうまく書けないプレッシャーから、幸太郎(須賀健太)はカンニングをしてしまう。母・真樹(森口瑤子)にひどく叱られた幸太郎は、明くる日から塾に行くふりをして、輝明(草なぎ剛)にくっついて動物園を訪れ、彼の仕事ぶりを眺めるようになる。何気なくビラ作りを手伝ったところ、三浦(田中圭)に絵を褒められ、以後も繰り返し輝明に同行するようになるが……

 実のところプロローグ部分、古賀が輝明に新しい仕事の指導を丁寧にしている部分で早くもグッと来てしまいました。今回の主題からすると、あくまで次回以降のフリという趣ですが、こういうさり気ない描写に光るものがある。

 ふたたび幸太郎に脚光を当てての今回は、ずっと抱えてきた義理の姉・真樹の問題を浮き彫りにしたものでした。実のところ彼女の何が問題なのかはかなり早い段階からはっきりしていたのですが、彼女自身を除く全員がそれを認識していたわけで、大事になるのを避けて誰もが口を噤んでいる、という状況は普通よりも打開しにくい。それを輝明の個性を巧く活かして、しかし軽やかにやってのけたのは見事でした。相変わらず一般的な自閉症の特徴と輝明の行動に食い違いがあるのですが、本来の傾向には添っているし、その“個性”が遺憾なくドラマに奉仕しているのは立派です。依然として違和感は禁じ得ませんが、もうフィクションとしては文句のつけようがない。

 ようやく打開の糸口が見えたからと言っていきなり何もかもが好転するわけでもなく、たぶん次回以降も微妙に尾を引くのでしょうが、それすらも決して悪いことではないように思える。いい仕上がりの1話でした。佐々木蔵之介演じる事なかれ主義のお兄さん・秀治も非常にいい味を出してました。

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