『モノノ怪』 化猫 序の幕

 地下鉄開通の日。人々の希望と野心を乗せて処女走行に望んだ車輌は、だが突如停車する。気づいたときには、四両編成だったはずの車輌はたった一両となり、ごく一部の関係者だけが車内に取り残されていた。運転手が後部車輌の車掌に連絡を取ろうにも通じず、運転手が席を外しているあいだに車輌はふたたびトンネルを走り始める。いったい、何が起きているのか……?

 時代を移し、画面上に現れる人間が増えても、やっぱり実験性と異様に美術的な映像の味わいは変わらず。モブキャラを潔くすべてマネキンにしてしまっている趣向が素晴らしすぎます。人数が多いので、ひとり一人をちゃんと描いてしまうと埋没してしまうのを、不要なキャラは割り切って静物にしてしまうという実験的なやり口。倒れてもマネキンのまんまなんだもんなあ。

 しかし、佳境に入ると本来の密室劇に舞い戻る。内容は違いますが、『怪』のときに近い謎解き+スペクタクルになりそうで、次も楽しみです。明らかに旧作の女中と同じキャラクターっぽい彼女は果たして関係があるのか、そもそも薬売りはいったい幾つなのかとか色々謎はありますが、その辺まで解決するのは求めません。

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