泉田を運転手にして涼子が向かったのは、武蔵野にある代議士・桂川の屋敷。数カ国で密かに共有していたある“研究素材”にまつわる事実を隠蔽していることを察知してのことだったが、話にはさらに裏があり……
単発のエピソード、なんですが、なんか半端なハードボイルド風味。こういうトーン自体は嫌いではないんですが、薬師寺涼子のシリーズに合っているかは正直、微妙。涼子の言動には基本的に泉田に対するアプローチがどこかしらに隠れているから可愛さがあるんですが、今回はただ単にふて腐れているだけ、という印象。無茶苦茶でも筋は通っていることの多い涼子の発言も、いつも以上に乱暴だし。
だが何より問題なのは、雰囲気がハードボイルドなだけで、話にいまいち骨がないこと。こういう流れにする意図も解るし、ラストでどんな印象を齎したかったのかも察しがつくのですが、心理的な伏線が張っていないのでただ唐突な印象しか与えません。こういう話にしたいなら、涼子にあんな憎まれ口を叩かせるより、その尺を使って心情を補強することに費やせば良かったのに。
狙いは悪くないし、絵の完成度の高さも保っているだけに、どーも話作りの拙さが勿体ない1話でした。
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