『誰も守れない』

 映画版の感想の前に、本日夜に放送された前日譚の感想をアップしておきませう。

 東豊島署の強行犯係・勝浦(佐藤浩市)と同僚の三島(松田龍平)は、池袋地下の駐車場で発生した傷害事件の捜査に駆り出される。襲撃したのがどうやら暴力団絡みの人間らしい、という目撃談によるものだったが、病院に搬送された被害者のもとを訪れると、そこに現れたのは勝浦がその日たまたまカウンセリングを受けた精神科医の尾上令子(木村佳乃)であった。令子は被害者の娘だったのである。勝浦達が暴力団を洗った結果、恐喝絡みで襲撃された可能性が浮上してきたが、折しも意識を取り戻した令子の父は、犯人が「家族も狙う」と言い残していったと証言、勝浦達は令子の保護に回される。勝浦の上司・坂本(佐野史郎)の狙いは、令子を泳がせて犯人を吊り上げることであったが、そのとき勝浦の脳裏に過ぎったのは3年前の失態であった……

 本篇は公開日にぴったり合わせた1月24日の出来事ですが、この前日譚は遡ること4ヶ月前の出来事の模様です。それだけに、細部に映画のほうとリンクする描写があって、本篇を観たあとだとそこが愉しい。映画のほうには勝浦の娘・美菜は声と写真しか出て来ないので、本人が現れたときちょっと感動してしまいました。エピローグ部分では、映画を観たときに首を傾げた幾つかのポイントにもあっさり説明がついてしまい、そのあたりのあざとさにニヤッとしてしまったり。いや、必ずしも説明の必要はない部分なので、映画のほうの評価にはそんなに影響はありませんが。

 映画のほうは加害者の妹でしたが、こちらではより解り易い、被害者の娘の警護。それでも、メディアを中心とする世間の好奇心の恐ろしさを盛り込んでいる点で通じている。但しあくまで番外編という位置づけからか、やっぱり映画本篇における人間関係や、些細な描写の背景を描くことを中心にしています。その分だけ主題が散漫になっている感じですが、でも面白いのはさすが。

 話運びのテンポの良さといいリンクの仕方といい、手法は『踊る大捜査線』を踏襲していますが、それをより社会派に、大人びた作りにしたのが本篇という印象です。でも、これが面白いと思った方は是非とも映画のほうも観てください。

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