レンタルDVD鑑賞日記その96。

 前々からいちど観てみたいと思っていた、香港映画界の鬼才ジョニー・トー監督2005年の作品。裏社会の秘密結社で2年に1度行われる会長選挙を巡る暗闘を描いた作品。

 これといったテーマ性はないのですが、しかしひたすらに容赦のない、生々しい駆け引きの数々が圧巻です。人物の立場や関係性についてほとんど説明せずに進んでいくので、利害関係がなかなか掴めないのが難ですが、しかしそれ故に登場人物の思惑が読みにくく、先読みも出来ない。そんな中でじわじわと浮き彫りになる、裏社会の苛烈さと伝統意識の重み、その背後に蠢く酷薄さが実に味わい深い。

 終わり方が何となく放り出されたような感じなので、一般受けはしないかも知れませんが、しかし評価の高さも頷ける、堂々たる演出ぶりに痺れる作品でした――しかし実はこれ、もともと二部作として構想されていたそうで、続篇は劇場公開こそされなかったものの、間もなくDVDでリリースされる模様。個人的にはここで終わってもいいのですが、登場人物たちのその後が気になるので、そちらも発売されたら鑑賞します。

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