自宅で1日3本観た。[含・レンタルDVD鑑賞日記その196]

 連日映画館通いを続けていて、さすがにひと息つきたくなったので、今日は自宅にてDVD鑑賞してました――結局観てるんかい。どうも作業が乗ってこないので、気懸かりを払拭する意味も籠めて、これまであまり挑戦したことのない、自宅での1日3本鑑賞に臨みました。メモを取ったり、というのも含めるとこれが限界っぽい。

 まず1本目は、ジョニー・トー監督ファンの先達である某氏にお借りしていた作品。黒澤明の『姿三四郎』に触発された、トー監督としてはちょっと珍しい手触りの青春映画です。

 如何にもヤウ・ナイホイが携わっているらしく微妙に難しい脚本で、なかなか状況が掴めませんが、事情が透けて見えた終盤の熱さは素晴らしい。ただ、考えないで観ていてはたぶん理解できないというのと、最終的にあの人物がどうなったのか咄嗟に把握出来ないことで若干損をしているようには感じましたが、いや、だからこそあとから訪れる感慨もあるのです。ちょっと人に薦めづらいですが、私は高く評価します。しかしこれをお薦めとして挙げた成海璃子は本当にただ者ではないと思う。

 2本目は、きのう届いたばかりのコレ。もう気になって気になって仕方なかったのでさっそく鑑賞。

 実のところ、ある仕掛けについてはけっこう早く見抜けるのですが、この作品はむしろそこから先がポイント。解っていても漂う不穏な空気、作中で種明かしがされてもなお持続する緊張感に、薄気味の悪い余韻がとにかく逸品。決して絵的に美しいわけではない代わりに、残酷描写をほとんどしていないにも拘わらずおぞましさを感じさせる描写は、一級のホラー作品と言っていいと思います。なるほど影響を受ける作家が多いのも頷けました。

  • 『失われた週末』(Universal Pictures Japan)

 3本目は、ビリー・ワイルダー監督1945年の作。実は私が初めて鑑賞したワイルダー作品で、しかも20年ぐらいぶりです。未だに、なんで映画好きというわけでもなかった私が、ひとりの夜にこれを観ようという気になったのか解りません。

 ワイルダー作品を幾つか観たあとだと、彼らしからぬストレートな語り口という印象でしたが、しかしそれでも充分にアルコール依存症の恐怖が伝わる。そして、それでいて最後に構成の妙を感じさせるのもさすが。かなり長い時間を挟んで鑑賞したからこそ断言できますが、時代を超える普遍性を備えた傑作だと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました