どっちもミステリ。

 このところなかなか余裕がなく、観たい作品がやたらと残ってしまってます。未だにギリギリの情勢ながら、ちょこっとだけゆとりがあったので、今日は意を決して映画をハシゴして参りました。まだ観ていないアカデミー賞関連作品……も気になりますが、今日はそれよりも、私にとって優先順位の高かったものを回収してきました。

 まずはユナイテッド・シネマ豊洲へ。今年初の訪問ですが、ららぽーと豊洲のテナントの入れ替えが大幅に行われているようで、以前来たときとあちこち印象が違っていて戸惑いました。まあ、私が立ち寄るところは映画館か、せいぜい紀伊國屋書店だけなんですが。

 本日1本目は、リチャード・スタークの『悪党パーカー』シリーズの1篇を、『Ray/レイ』のテイラー・ハックフォード監督が当代きってのアクション・スター、ジェイソン・ステイサムを招いて実写化したPARKER/パーカー』(KLOCKWORX配給)。ステイサム贔屓としては外すわけにいかず、そしてこのところステイサム作品を欠かさずかけてくれる恩に報いるため、どーしてもこれはユナイテッド・シネマ豊洲で観ねばならないのです、私は。

 最近は毎回思っていることですが、ステイサムは実に自分の活かし方をよく解っている。悪党ながら道義を重んじ、人質からも信頼される人間性を備えつつも、しかし裏切りに対しては苛烈に報いる、このキャラクター性が見事にステイサムに合っている。これまでと比べ、重い傷を負う場面も少なくないのですが、しかしそれでもなんとか立ち上がり、敵に“不死身”と言わしめる、なんてキャラクターもまさに彼ならでは。犯罪計画の描き方と、そこでのパーカーの振る舞いにも説得力があって、これはかなりの良品。今のところ『SAFE/セイフ』が彼のベスト、と個人的に思ってましたが、本篇は匹敵する出来映えです。

 続く作品は、ついこのあいだまで第3回午前十時の映画祭に使用されていたTOHOシネマズみゆき座が、映画祭の終了と共に一般作品の上映に戻り、その第1回作品になっている。結局、第3回午前十時の映画祭ではいちども足を運ばなかったので、久々に利用させてもらうか、と考えており、今日はスケジュールもちょうど良かったので、ハシゴの予定を組んだのです。……スクリーンを出たとき、入口横のポスターが、みゆき座で観るつもりの作品に変わっていたのに気づいて、一瞬心が動きましたが。

 とにかく、TOHOシネマズみゆき座にて鑑賞した本日2本目は、『[リミット]』で一躍世界的に注目を集めたロドリゴ・コルテス監督の最新作、復活した超能力者と、その秘密を探り出そうとする科学者チームたちの戦いをミステリアスに描くレッド・ライト』(Presidio配給)。昨年の東京国際映画祭での紹介を見たときから気になっていて、公開が決まったあとの挑発的な予告篇にもそそられ、意地でも観たかった1本です。

 ……ネタが解ってしまいました。いや、あまりに広告が挑発的すぎて、序盤から身構えて鑑賞していたら、早いうちに考えていた可能性がズバリ嵌まってしまったのです。とはいえ、過程の緊迫感や、細かな台詞の配置など、スリラーとしての見せ方は非常に優秀なので、自分が見抜けたからと言って不満はありませんし、むしろ高く評価できる。同じスペインのアレハンドロ・アメナバール監督がどんどん文芸路線にシフトしてしまっているのに対し、このコルテス監督は別の監督のためにオカルト・タッチの脚本を提供しているそうなので、今後もこのジャンルでの活躍を期待してよさそう。

 というわけで、かなり方向性は異なれど、どちらも非常に私好みのミステリ映画と言え、大変満足のいくハシゴでございました。次の映画館詣では、月明けの予定。

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