タイタンライブ20周年記念の爆笑問題withタイタンシネマライブ#39。

 2ヶ月にいちどのお楽しみ、爆笑問題withタイタンシネマライブですが、今回はいつもと少しだけ趣が違う。爆笑問題が所属事務所・タイタンの芸人らと定期的に催すライブが始まって20周年となるのを記念して、きのう11日と本日の2日間、六本木のEX THEATERで上演されました……が、シネマライブ自体はいつも通り、金曜夜の1回だけ。それなら今回初めて、11日の回だけ生で鑑賞しようかしら――と目論んでいたものの、油断している隙にチケットは発売されており、気づいたときには売り切れてました。まあいつものことだ。もちろんシネマライブのほうは発売日にさっさとチケットを確保しましたが。

 映画館のみの企画、“このあとシネマライブ”に登場したのは3組。うち2組は本篇でも見たことがあるんですが、短いネタでは正直いまいちでした。意外だったのは、リンゴ農家との兼業芸人という松尾アトム前派出所という方がけっこう面白かったこと。農家あるあるネタなんですが、妙にピンと来るのが面白い。でも、本篇の尺を埋められるだけの力があるのかは疑問のような……。

 続いていよいよ本篇。記念すべき回だからか、全体に力が入っていたのは間違いない。序盤のタイタンメンバーはもちろん、ゲストのつぶやきシロー、流れ星も気を吐いていました。

 しかし序盤で最大の驚きは、正体不明の芸人“O2−T1”です。私の知らない、活きのいい若手が現れるのかと思いきや――普通に爆笑問題のふたりでした。但し漫才ではなくコント形式、それも冷凍睡眠で長い旅に出かけている途中だった、というSF設定で展開する、という意欲的なネタ。漫才の腕はもうよく解ってましたが、コントでもこれだけきっちり笑わせてくれるのはさすが……しかし残念だったのは、SFの設定がいまひとつ雑だ、ということ。地上に溢れた放射性物質を廃棄しに100年近い旅に出ている、という設定なんですけど、捨てる技術があるなら、影響のない星系まで送り込んで衛星にする、とか人間を加えなくても何とかする方法がいくらでもあるでしょうし、そもそも宇宙に飛び交う放射線の量は地上の比ではないんですが。諷刺にしても設定のツメが甘いし、そこにツッコんでいかないのが気になりました。流れや仕掛けはさすがなんだけどなー。

 で、この爆笑問題渾身のコントを受けての登壇が、長井秀和。よりによってコイツか、と思いましたが……今回、危ないネタはほぼ封印してました、さすがに。ちょっとだけ闇が出てましたけど。押さえても出来るなら普通にそうしろよ、という気もしましたけど。

 ここからは東京03パックンマックンアンガールズインスタントジョンソンとゲストのターン。このあたりも安定した高水準です。面白かったのはパックンマックンで、20年前からタイタンライブにゲスト出演していた、ということで初出演のときのネタを再演する、という体裁で始めたのに、途中で仕込んである細かいネタが古すぎて伝わらない、と気づいて新しいネタに差し替える、という展開が楽しかった。そこまで神経質にならんでも、とも思いましたが、面白かったのでよし。

 インスタントジョンソンのネタが終わったところで、爆笑問題がふたたび登場、いつもの時事ネタをベースとした漫才へ……が、ここが何故か思いのほか短い。そんなに時間が危ないのかしら、と首を傾げていたら、すぐに理由が解った。

 大トリに登場したスペシャルゲストが、立川梅春――ビートたけしだったのです。

 先日放送していた立川談春のドラマのときに調べて、ビートたけしが談志の弟子として落語家の名前を持っていることは知ってました。しかし、まさかここで見られるとは思わなんだ。

 しっかりした枕から入ったのは、古典らしき人情噺。最近、ちょっと舌がもつれ気味で、随所に前後の怪しいところも見受けましたが、それでも聴かせてしまうのはさすがでした。先ほど調べてみたところ、日本橋を舞台とした“人情八百屋”という噺を、たけしにとって馴染みのある浅草に舞台を替えて語ったもののようでした。

 特別企画だったからか、それとも誰かが引き延ばしすぎて時間が足りなくなったのか、梅春の噺が終わったところで、舞台挨拶もなしにエンドロールに入ってしまいましたが、内容的には記念回に相応しい充実ぶりでした。

コメント

  1. たまたま みたよ より:

    先日の NHK スペシャルで、「人工知能は感情を持ちつつある」みたいなドキュメンタリーをやってましたので、件の爆笑問題コントもこの視点から見るとトピックだと思います。放射線云々はあくまで導入と考えれば、意外に深いコントかもしれませんよ。

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