春の嵐だと言うから。

 今日は六本木で食事がしたい、という一念で出かけて参りました。先に目的地と日付を決めていたので、陽気が不安定で荒れる可能性も、という予報が出ていても、自転車を諦め電車にて移動。

 約1ヶ月ぶりのTOHOシネマズ六本木ヒルズにて鑑賞したのは、『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督×エディ・レッドメイン主演、世界で初めて性適合手術に望んだ人物をモデルにした小説を映画化、アリシア・ヴィキャンデルアカデミー賞助演女優賞を筆頭に様々な賞に輝いたリリーのすべて』(東宝東和配給)

 トム・フーパー監督は素材選びとごく一部のアイディアが優れているだけで、全体を最後組み立てる力についてはずっと疑問符をつけていたんですが、今回はかなり巧くまとまっているように思います。細かな歴史背景についての説明を廃し、社会的な反発、などの夾雑物を廃することで、女性になりたい、という思いに突き動かされる“リリー”と、それを手助けする一方で、“夫”を失うことに苦しむ妻、というふたりの感情を克明に、絵画的に描き出している。少々気取りすぎたカメラワークが目立ちますが、題材が絵画や美に接しているので、それ故にいままでより違和感が少ないのでしょう。エディ・レッドメインの見事な変貌っぷりは言うに及ばず、やはりこの作品のキーは、当時としては先進的な価値観を備え、“女”になることを夢みる“夫”を支えながらも懊悩する複雑な感情を表現しきったアリシア・ヴィキャンデルであることは間違いない。良い映画でありました。

 鑑賞後は予定通り、行きつけのうどん店で昼食を摂る。これで雹でも降っていればもちろん、雨でもぱらついていたら最寄り駅から家路に就くところですが、思いのほか陽気は悪くない。ふと思い立って、そこから新橋駅まで歩いていったのですが……やるんじゃなかった。距離的には3kmくらいですが、少なくとも早めに昼寝をしよう、という気分で歩く距離ではない。まして、いくぶん熱っぽい、と感じていたんですから、大人しく最寄り駅を使うべきでした。

 まあ、最近はそこそこ動くようにしているお陰で、それほど疲労は溜まらず、体調に影響を及ぼさなかったのは幸いでした。こういうことは時間的、体力的に余裕のあるときだけにしとかないとなー。

コメント

タイトルとURLをコピーしました