特に怖くはない話。

 最近、寝るときにベランダのある部屋を使用しています。

 このあいだ、昼寝から目覚めて、空気を入れ換えるために窓を開けると、向かいに見えるご近所の窓で、誰かがカーテンを掴んで外を窺っているように見えた。

 なにを見ているのだろう、と同じ方向を窺っても、特に何も見つからない。改めて窓のほうを見やると、違和感を覚えた。

 あのひと、ぜんぜん動いてない。

 一瞬、ヒヤリとしました。しかし、冷静になれば、何かがたまたま人の姿のように見えたに過ぎない、と気がつく。だいいち、先方の窓は磨りガラスなのです。外を窺うなら、窓を開けるべきでしょう。

 その後、母にも話をして確認してもらったところ、あれは造花ではないか、という意見でした。確かに、カーテンを押さえているように見える手の位置、頭の位置にあるものも、よくよく目を凝らせば花に似ている。そのお宅の方に確認したわけではありませんが、何らかの静物がたまたま、立って窓の外を窺うひとのように見えてしまっただけ、というのに間違いなさそうです。

 改めて安堵しました。そこのお宅、数年前にご子息が火事で焼死されてますから、てっきりマジモノかと思った。

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