最終日もバタバタでした。

 3泊3日の松江旅行、本日最終日でした。

 チェックアウトする前に、ホテルで電動アシスト自転車を借りて、取り急ぎ洞光寺へお預けしていた御朱印帳を引き取りに行ってきました。ご住職にはお会いできませんでしたが、ちゃんと準備してあって、無事に頂戴できました。

 戻ると、予めまとめてあった荷物を持ち出してチェックアウト。まだまだ余裕はあるので、最後の日くらいはのんびり……という思惑は、うっかりバスを乗り過ごしてしまったことで、ものの見事に崩壊。乗り場に“松江城”が書いてあるのに、停留所はなくて“県庁前”で降りる、なんて想像つくかっ!

 最終的には何とか松江城に辿り着きましたが、予定より1時間もロスしてしまった。ひとつひとつ、なるべく丁寧に回ることを考えると、ここの他には小泉八雲記念館ぐらいしか行ってられない。

 ――ではあまりに寂しいので、一昨日の第4回松江怪談談義が開催された松江歴史館の、当日は鑑賞出来なかった通常の展示を観てきました。

 その前にまずは松江城。昨年、仕事のついでに見てきた大坂城は、展示や景色は悪くないけどどー思いこもうとしてもビルとしか思えなかったので、天守閣が現存する数少ない城郭として、いちどは見ておきたかったのです。本物の手触りを確かめたかった。

 規模としては大坂城に劣りますが、しかしやっぱり本物はちょっと違う。住環境よりも非常時を考慮した構造や遺物の数々、木造であるが故の、大挙する観光客の足音や気配が伝わるのも味わいがあります。うん、これこれ。……昨日の強行軍の影響でもはや足腰はガタガタ、戦時に備えた城ならではの急すぎる階段には往生しましたけど、それもまたよし。

 そして松江歴史館です。400年にわたる松江の歴史を俯瞰する常設展に加え、企画展として、京極氏に続いて松江城主となり、以来徳川幕府において長年松江藩を平定、松江のひとびとから親しまれた松平家の初代・松平直政にまつわる資料を展示していました。今回は城内と内容がいちいちリンクしているので、理解しやすかった。

 次は松江城と共に絶対に外せない、と思っていた小泉八雲記念館です。もともと来るつもりではいましたが、一昨日の怪談談義でも、4代目渾身のリニューアルを施したことが窺えましたし、驚異的造形の虫籠、というそそられる展示物の話もさんざん聞かされたので、ますます外すわけにはいかなかったのです。

 外観は和風ですが、内装は近代的な博物館の趣です。豊富な資料の展示と共に、小泉凡氏らが丁寧に準備した解説が随所に記されていて見応え充分。リニューアル以降、1時間近く滞在する来館者貸が増えた、という話でしたが、それも不思議はない。前々から著作や関連書を読んでいたので、内容的には既知のことも多かったのですが、実際に触れた品、書きつけた文面などを解説込みで見ると、いい具合に想像が膨らみます。ご本人が松江に滞在したのは1年にも満たないんですが、だからこそ八雲本人の松江への想い、松江の人々の八雲に対する敬意が窺えるのでした。

 ここで八雲の旧居にでも向かっておけば、最後くらいはもう少し余裕があったのかも知れません。しかし、どういうわけか私が次の、確実に最後になる訪問先に選んだのは、月照寺でした。

 ……流れはあった。松平家菩提寺として観光地化されているうえ、ここにある石の亀が夜な夜な動き出す、という話を小泉八雲が採り上げている。とりあえず亀の実物を確かめてきて、ついでに御朱印も頂戴できればこれに越したことはない。

 実は『怪し会』のチケットとセットで貰っていた優待券が使えない場所だった、というのは別にいいんです。ただ、普段なら拝観料を支払ったうえでじっくり見て回りたいところだったのが却って悔しい。亀は確かめてきましたし写真も撮りましたが、どうしてこのサイズの亀が動く、という話が出て来たのか、もう少し現場を詳しく検証してみたかった。御朱印は、貼り付ける簡素化されたかたちではありましたが、ちゃんと提供されていたので、こちらも無事に獲得。ここまで5箇所で頂戴してきましたが、いまのところすべて小泉八雲にゆかりがある、というなかなかレアな状態になってます……さすがにこのまま八雲繋がりでやるのは難しいでしょうけれど。

 用事を済ませ、慌ただしく離脱してみたものの、こんどは帰りのバスがなかなか来ない。そして、このとき利用した松江レイクラインは、主要な観光地を点々と巡る構成になっているんですが、停留所の数から判断すると、月照寺松江駅の正反対の場所に位置していた。つまり、この路線において、松江駅からいちばん遠い。1周1時間足らずの路線とは言い条、それでも30分近くかかる。

 ……まあ、最終的には何とか間に合いはしましたが、頼まれていた土産物を探す時間が足りず、候補に上げられていたのと微妙に違うものを選ばねばならなかったのが悔やまれる。どーも、イベントや観光地それぞれは楽しかったんですが、移動手段宿泊手段については、色々と悩まされることの多い旅でした……。

 帰りは松江駅からやくも24号に乗車、約2時間半を費やして岡山へ。ホテルを出て以降、食事を摂る余裕がなかったので、ここで駅弁を確保したあと、のぞみ56号に3時間強乗って東京へ帰着……出雲に比べるとだいぶ時間は短縮されてますし、席が確保されていれば体力的にはだいぶ楽ではあるんですが、それでも合計6時間近くというのはなかなかしんどい。

 前述したように、全般に交通の便の悪さに悩まされた……かつ、実はホテルでも色々あったりして、消耗は大きかったのですが、しんどいなりに楽しい旅ではありました。今回、訪れたかったのに時間が足りずに足を運べなかったところも多かったので、出来れば来年、次の『松江怪談談義』『怪し会八雲』を含む松江怪喜宴に参加して、もういちどゆっくりと回りたいところ……今度は『怪し会』のときを除いてぜんぶ自転車で回る、というのも一手かも知れない。

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