『オーシャンズ8(字幕)』

TOHOシネマズ西新井が入っているアリオ西新井の外壁に掲示されたポスター。

原題:“Ocean’s Eight” / キャラクター原案:ジョージ・クレイトン・ジョンソン、ジャック・ゴールデン・ラッセル / 監督&原案:ゲイリー・ロス / 脚本:オリヴィア・ミルチ、ゲイリー・ロス / 製作:スーザン・イキンズ、スティーヴン・ソダーバーグ / 製作総指揮:ダイアナ・アルヴァレス、ブルース・パーマンジェシ・イアーマン、マイケル・タッドローズ / 撮影監督:アイジル・ブリルド / プロダクション・デザイナー:アレックス・ディジェルランド / 編集:ジュリエット・ウェルフラン / 衣装:サラ・エドワーズ / キャスティング:シャイナ・マルコウィッツ、デブラ・ザーン / 音楽:ダニエル・ペンバートン / 出演:サンドラ・ブロックケイト・ブランシェットアン・ハサウェイ、ミンディ・カリング、サラ・ポールソン、オークワフィナ、リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーター、ジェームズ・コールデン、リチャード・アーミティッジ / ラーウェイ・ロード製作 / 配給:Warner Bros.

2018年アメリカ作品 / 上映時間:1時間50分 / 日本語字幕:佐藤恵

2018年8月10日日本公開

公式サイト : http://oceans8.jp/

TOHOシネマズ西新井にて初見(2018/08/18)



[粗筋]

 デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)は5年の刑期を終え、ようやく出所した。親族すべて犯罪者である彼女は、今後家族との交渉を断ってでも犯罪者と接点を持たない、地味に生きる、と誓って保釈を得たが、もちろんそんなつもりは毛頭なかった。

 刑務所を出るなり、デビーはかつての仲間ルー(ケイト・ブランシェット)と落ち合う。ルーは、デビーが5年に亘る刑務所生活のあいだに練り上げた一攫千金のプランを聞かされると、最初は難色を示したものの、最後には計画に加わる。

 デビーが狙いを定めたのは、時価1億5千万ドルの宝石“トゥーサン”。カルティエが保持し、地下金庫に厳重に保管されているが、毎年5月にメトロポリタン美術館で開催される“メットガラ”に参加するセレブに、であれば、貸し出される可能性がある。

 デビーとリーはまず、落ち目のデザイナー、ローズ・ワイル(ヘレナ・ボナム=カーター)に接触、彼女を仲間に引き入れた。そして、メットガラに招待されているハリウッド女優ダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)を巧みに誘導し、デザイナーとしてローズを起用させる。

 凄腕ハッカーの“ナインボール”(リアーナ)、技巧に優れたスリ師のコンスタンス(オークワフィナ)、ジュエリー職人のアミータ(ミンディ・カリング)、そして古馴染みの盗品ディーラー、タミー(サラ・ポールソン)を引き入れ、いよいよ計画は始動するのだった――

[感想]

 スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニーほか豪華キャストを揃えたことで話題となり好成績を収めた『オーシャンズ11』を、女性キャスト主体でリブートした作品である。

 もともと『オーシャンズ11』じたいが『オーシャンと十一人の仲間』という作品をベースにしている。ストーリー自体は共通していないが、一貫しているのは“オールスターキャストによるコメディタッチの犯罪ドラマ”という点だ。オリジナルはフランク・シナトラディーン・マーティン、サミー・デイヴィス・Jrという、いまでも名の通る大物を揃えていた。ソダーバーグによる3部作でも、ジョージ・クルーニーブラッド・ピットマット・デイモンなどをメインに、毎回新たなビッグゲストを招いて、スタイリッシュな駆け引きや意外性のある犯行、といった要素で統一し、豪華さと娯楽性をたっぷりと満喫できるシリーズに仕立てた。

 メインキャストを女性で統一したこの作品でも、その方向性は踏襲している。サンドラ・ブロックケイト・ブランシェットアン・ハサウェイにヘレナ・ボナム=カーターとオスカー女優が並び、他の面々も、日本ではまだあまり知られていない名前もあるが、アメリカでは活躍している者ばかりであり、劇中でもそれぞれに存在感を発揮している。

 犯行計画の大胆さや緻密さも、ソダーバーグ版の様式を受け継いでいる。厳重に守られた高額な宝飾品を、如何にして狙いやすい場所まで導くか、どうやって隙を作り奪うか、という計画や工作を丹念に描き、その随所でサスペンスも演出する。ハッカーの技術が極端なほど高かったり、偽造品を作るための装置がまるでスパイ映画さながらだったり、という点が不自然に思えるが、少なくともそれらの技術が計画のなかで必要であることはきちんと描写されているので、それほど違和感はない。

 しかしこの作品の白眉は、女性キャストをメインに据えたからこその会話や、絵的な華々しさにこそある、と思う。

 本篇はソダーバーグ版の旧シリーズに徹底して敬意を表しており、プロローグもあえてシリーズ序盤を彷彿とさせるシチュエーションで綴られるのだが、そのあとの言動は女性主人公ならではだ。かつての仲間にしても、この計画で新たに引き入れた人物にしても、女性だからこその職種に就いていたり、女性ならではの生活上の悩みがあったり、と“女性”というジェンダーを説教臭くならないレベルで巧みに盛り込んでいる。盗品ディーラーが家庭に入りながらも未だ素性の解らない荷物で倉庫をいっぱいにしている、というあたり、ユーモアも利いている。

 そして、その上で旧シリーズを彷彿とさせる精緻かつ大胆なスタイルで犯行を企てながら、ちゃんと女性ならではの華やかさ、華麗さも演出している。ハリウッド女優という役柄でこれでもかとばかりオーラを発揮しまくるアン・ハサウェイは勿論だが、計画のなかで地味な役回りで潜入するような人物にも、ドレスアップする場面を用意しているのが憎い。各自異なるブランドで身を固め振る舞う様は颯爽としていて、オールスターキャストに相応しいゴージャスな見せ場を作り出している。

 個人的には本篇における仕掛け、サプライズの類については、あまり評価出来ない部分もある。こと、ラストで明かされる仕掛けは、旧シリーズからの観客に目配せをする趣向ではあるのだが、本篇の“売り”をいささか崩しているように映る。また、この仕掛けを有効にするために様々な布石を置いた、という見せ方だが、さすがに計画する側に都合よく動きすぎている印象も否めない――予めデビーが次善策、代案を用意していたとしても、である。

 とはいえ、それでもかなり凝った構成で、犯罪計画を描いたクライム・ドラマとしての醍醐味に満ちている。ユーモアも豊富な会話に、オールスターを起用した甲斐のある絵作りに見事だ。傑作と言い切れるほど文句のないクオリティではないが、観ていて飽きることのない、堂々たるエンタテインメントに仕上がっている。

関連作品:

オーシャンズ11』/『オーシャンズ12』/『オーシャンズ13

シービスケット

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