子供が観る映画じゃない……よね?

 まだ都内の映画館の再開までは時間がかかりそうなので、今日も今日とて自宅にて映画鑑賞です。
 このところNetflixでばかり探してましたが、実はAmazon Primeにも入っている……もともと配送無料が目当てで入ったので、Prime Videoのほうはあんまり利用してませんでしたが、たまにはこっちで拾ってみよう、と考え、配信作品を漁ってたら、これはちゃんと観ておかないと、と前々から思っていた作品が出てきたので、すぐさま鑑賞。
 本日の作品は、今村昌平監督が1979年に発表した代表作、実在した連続殺人犯をモデルに、欲望の赴くまま詐欺、殺人を重ねて日本を逃亡しつづけた男と、その周辺のひとびとの姿を描き出した『復讐するは我にあり』(松竹初公開時配給)
 小さい頃に観たような記憶があったんですが……ほんとに観てたんだろうか、これ。どう考えても子供が観るもんじゃない。随所に挟まるエロスに食いついてたのか?
 いまの目で観ると、子供には見せたくないけど傑作。生まれながらにして犯罪者、としか言いようのない男が死刑に至る連続殺人を如何に犯していったか、を本人のみならず、彼の家族や逃亡終盤に拘留した女たちらの人物像も重ねて生々しい筆致で描いている。欲望のままに犯行に及んでいるかに見える主人公・榎津巌の、しかし奇妙に理知的で魅力のある振る舞い、その父・鎮雄の見ようによっては巌よりも怪物めいた言動、そしてこの奇妙な親子によって弄ばれる巌の妻・加津子のうら悲しくも艶めかしい佇まい、そうしたものが折り重なって紡ぎ出される欲と業が重い。いま観るとあまりに肉感的すぎる作りですが、その時代的空気の濃密さが却っていまなお色あせない魅力を生み出してます。

 有料配信サーヴィスは、何かを観たり検索したりすると、同じような傾向の作品を積極的に薦めてくるので、どーしても偏りが出てきてしまう。それ故に、Netflixでは洋画、このところは香港・中国映画を立て続けに観る結果になってましたが、古い邦画にも本篇を筆頭に観てみたかったものはいくつかある。
 本篇を鑑賞したあとで作品のページを確認すると、案の定、観てみたかった作品が次に見る作品の候補として並んできた。そのうち何本かウォッチリストに登録したので、またしばらくはネタに困りません。

コメント

  1. […] 原作:佐木隆三 / 監督:今村昌平 / 脚本:馬場当、池端俊策 […]

タイトルとURLをコピーしました