男という名の悪夢。

 本日は2カ月にいちどのお楽しみ、タイタンシネマライブです。例によって他の映画をひとつハシゴしよう……と思ったのですが、いざスケジュールが発表されると、観たかった作品の時間割がことごとく噛み合わない。ああでもないこうでもない、と調べまくって、もうシネマライブだけにしとくか、と諦めかけたところで、ようやく絞り込めました。
 というわけでメインの上映が始まる3時間前に、電車を利用してTOHOシネマズ日比谷へ。鑑賞したのは、『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランド監督最新作、心の休息を求めてカントリーハウスを借りた女性が悪夢のような出来事に巻き込まれるMEN 同じ顔の男たち』(Happinet-Phantom Studios配給)
 トキシックマスキュリティを題材とした映画――みたいに横文字を使うのはあんまり好きではない。“有害な男性性”でこと足りる。
 予めそういうテーマがある、と目にしてしまったので、完全にそのつもりで観てましたから、色々と頷けるものがある。主人公ハーパーが心を病むきっかけの出来事でその片鱗を覗かせ、身を寄せた田舎町での出来事から次第に明白になっていく。
 邦題にある“同じ顔の男たち”という要素を、劇中で意識的に言及するくだりはない。しかし、観客の目には如実なその事実が、間をたっぷりと用いた演出とも相俟って、ジリジリとおぞましさを増していく。クライマックスの象徴にまみれた不条理な展開も、こうした下準備があるお陰で何故か腑に落ちていく感覚がある……と受け取れるかは観る人次第でしょうけれど。
 パンフレットを読むと、監督は「ホラー映画の方法を用いているがホラー映画としては成立していない」と捉えている(それも承知の上で狙っている)ようですが、しかし私にはすべてが終わったあと、ハーパーの見せる表情が怖かった――何故か、ということはあえて説明しません。
 ちなみにこれも、きのう観た『グリーン・ナイト』も、現在もっとも勢いのあるA24のリリース。基本的にこういう癖のある作品ばっかり発表しているのは解ってますが、なんか特に手強いものを立て続けに見せられた気がします。MP削られるぞこんなん。

 鑑賞後はいったん劇場を出て、日比谷ラーメンアベニューにて少し早めの夕食を摂り、それから本日のメインイベントへ……そちらの詳細は項目を分けて改めて。たぶん日付は変わる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました