もっと慎重になりましょう。[レンタルDVD鑑賞日記その885]

劇場版 心霊盂蘭盆8 水蛭子祟り(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 10月7日くらい(記憶が曖昧)に、2019年8月リリースの『劇場版 心霊盂蘭盆8 水蛭子祟り』を鑑賞。安産祈願で知られた神社を訪れた夫婦が異様な怪異に見舞われる《怨念授》、投稿者のアルバイト先の友人が、とある新興宗教めいた団体の内情を探ろうと隠し撮りした際に遭遇した恐怖《ステラの娘》、新興宗教めいた団体から親友の妻を取り戻そうと活動した人物への取材を描いた表題作など、全6篇を収録。
 最初は映画として公開されたらしい。たぶんミニシアターでの限定上映だったんだろう、と思われる。なので、これも映画鑑賞のリストに加えて、詳しい感想を書く前提にした方がいいか、ちょっと悩みましたが……やめておきました。あのスタイルだと厳しいことばっかり書き連ねちゃいそうだから。
 姉妹シリーズ《心霊曼邪羅》とは違い、最初から長篇ネタ、そして何巻か前から、1巻全体で繋がるような内容にシフトしていったので、映画向きではある。尺はこういう怪奇ドキュメンタリーの基本である1時間ちょっとのまんまだけど。
 そもそも、シリーズの他の巻と比べて、突出してインパクトの強いエピソードというわけではない。舞台もだいたい似たり寄ったりだし、肝心の現象はいつも通りに一瞬の映り込みばっかりだし。きっかけや顛末が特殊でも、肝心の怪異がチープすぎていまいち乗れないのです。
 個人的にもうひとつ、むちゃくちゃ引っかかるのは、通しで関係してくる要素と、それに対するスタンスに見え隠れする偏見です。この巻では特に、サブタイトルから薄々察せられるように“水子”、ひいては妊娠や胎児にまつわる怪異が中心となるのですが、そこで災いのように触れられる要素が、だいぶ軽率。もう時代は違うのだから、みなそのことについては悩みながらも昔とは違う考え方で臨んでいるのだ、という部分に、怪異とは別のところで言及するべきです。そういう観点が欠けていることに、作り手の偏見、或いは致命的な軽率さが露見してしまっている。怪異と絡んでいるように感じられるけど、結局よく解らない演出担当の異変なんか採り上げる前に、題材の繊細さに目を向けるべきです。
 そもそも、今回の題材に限らず、呪いだ禁忌だ、というものは多かれ少なかれ差別や偏見と結びつくことが多い。こういう作品の作り手は、自らが扱っている題材の難しさをもっと理解すべきです。

 ……みたいな説教が続いてしまうので、やっぱり映画感想として切り出すのはやめておきます。いちおう全体を貫く仕掛けがある以上、そこに触れすぎずに上記のようなことを丁寧に指摘するのは大変なのよ。

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