映画鑑賞の頻度が落ちてますが、それでも午前十時の映画祭15のコンプリートは目指し続ける。ゆえに本日はお出かけです……突如として発生し、午後には関東付近を通過する、という台風に戦々恐々としつつ。
そろそろ錦糸町のラーメン屋が恋しくなってきたところですが、今日も行き先はいつものTOHOシネマズ日本橋。鑑賞した今コマの作品は、松本清張の作品をベースに、一見ありふれた殺人事件の背景を、刑事達が執念の捜査で炙り出していく社会派推理ドラマ『砂の器』(松竹初公開時配給)。
映画をやたらと観まくるようになる以前、当時自宅にあったLDで鑑賞したのが最初ですから、これも私にとっては原体験に近い――もっとも、その凄みとか味わいを本当に理解できるようになるのはもっとあとのことでしたが。
原尞は“映画の体裁を為していない”と随筆で記したことがものすごーく印象に残ってしまってるんですが、これも私にとっては私はあんまり賛同できない……というか、そもそも“映画の体裁”ってなんやねん、と首を傾げてしまう。
テロップで状況を説明したり、最近はあまり見ないズームイン、ズームアウトの使い方など、洗練されてないなー、という気はしますが、緻密に組み立てられた事件とその背景、そしてひたすらに脚で稼ぐ地道な捜査の重厚感は凄い。
しかし圧巻なのはやはりクライマックスです。刑事が地道な捜査から解き明かした犯人の正体と、事件の背景となる過去が、芥川也寸志指揮の演奏をバックに綴られていく。運命の悪戯が齎したドラマと、その結果としての悲劇に、どうしたって胸を打たれます。なにせこちらはもう何度観たか解らないので、このクライマックスの序盤でちょっと眠気はあったのですが、やっぱり終盤では吹き飛ばされます。このくだりの緒形拳と加藤嘉の演技はとりわけ凄い。
個人的には、ときどき無性に観たくなる作品のひとつ。配信とかでも観てますが、あの“旅路”を共有するかのような心地を味わえる大スクリーンでの鑑賞がいちばん適している。今後も午前十時の映画祭ではときどき採り上げてくれると嬉しい。
映画のあとは昼食です。
はじめは、少し歩いて、つじ田 味噌の章で食べるつもりでいたのですが、このところちょっと無理に動きすぎていたせいか、身体に疲れが溜まっている。それに、午後から台風の影響で大荒れになる、という予報もあったので、コレド室町2すぐ近くの神田らぁめん悠に赴いて済ませることに。
……ただ、大荒れ云々については、建物を出た時点で、影響があるとしても今じゃねえな、と悟りはしたのですが、疲れもだいぶ強くて、あんまりウロウロしたくなかったのです。少なくとも、この界隈のラーメン屋でいちばん好みだし、昼食時でも比較的座りやすいので、悩んだときはこのお店に限る。
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