
丸の内ピカデリー、シアター2入口前に掲示された『だぁれかさんとアソぼ?』チラシ。
監督:清水崇 / 原案&脚本:角田ルミ、清水崇 / 撮影:大内泰 / 照明:神野宏賢 / 美術:楢木香名子 / 編集:鈴木理 / ホラー演出:川松尚良 / 録音:原川慎平 / 音楽:小林うてな、南方裕里衣 / コラボレーション・ソング:FRUITS ZIPPER『センセーション』 / エンディング・テーマ:ののちゃん(村方乃々佳)『だぁれかさんとアソぼ?』 / 出演:鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER)、星乃あんな、大西利空、向井怜衣、小國舞羽、室はんな、オクイシュージ、菜葉菜、マキタスポーツ、染谷隼生、マユリカ阪本、早瀬憩、穂紫朋子、染谷将太 / 制作プロダクション:Darwin / 企画&配給:松竹
2026年日本作品 / 上映時間:1時間49分
2026年7月24日日本公開
公式サイト : https://movies.shochiku.co.jp/darekasantoasobo-movie/
丸の内ピカデリーにて初見(2026/8/13)
[粗筋]
2026年7月10日。
心理カウンセラーとして勤務する平瀬小春(鎮西寿々歌)のもとにやって来たのは、何かに怯えきった少女だった。彼女は“タカヤサマ”が来ると訴え続け、小春の手に負えなかった。
同じ日、小春の妹・菜々美(星乃あんな)は友達の西野マキ(向井怜衣)、奥山衣緒理(小國舞羽)、黒滝だいあ(室はんな)の3人と共に、都市伝説に聞く儀式を試そうとしていた。階段を13段上がったところで、テープレコーダーに日付と人の名前を吹き込むと、その相手のもとに“タカヤサマ”が訪れる、というものだった。菜々美は気が進まなかったが、友達が次々と儀式を済ませていき、たまたま通りかかった同級生の千葉丈太郎(大西利空)まで実践してしまったので、自分の番が来ると、やむを得ず階段を上がり、録音を行う。
その日の放課後の体育館で、菜々美はマキのダンスを動画撮影していた。背後ではバスケットボール部が練習していたが、気づくと舞台上にバスケ部の顧問・田中勝(オクイシュージ)が宙吊りになっており、体育館中の生徒たちが見ている前で投げ出され、舞台上のピアノを叩き潰すように転落した。
6日後、小春は菜々美の学校にいた。スクールカウンセラーとして、事故を目撃した生徒たちの精神的ケアを実施するために呼ばれたのである。小春が衣緒理とだいあのカウンセリングを行っているとき、順番を待つ生徒たちのあいだで、事件が起きていた――
[感想]
『呪怨』によって注目された清水崇監督は、それから四半世紀近く経て、すっかり本邦ホラー映画の第一人者となった感がある。
恐らく大きいのは、一定規模のホラー映画を、ほぼ毎年発表していることだ、と思う。しかも、表現に気を配り、ホラーとしての醍醐味を保ちつつも出来る限り全年齢対象となる作品を中心にリリースしている。そのため、ホラー映画を純粋に楽しんでくれる10代、20代あたりへのアピールが常に続いている。他のホラー映画の監督は知らなくとも、清水崇監督は知っている、という若いファン層もいるのではなかろうか――希望的観測ではあるが。
ともあれ、それだけのペースでリリースを継続し、経験を積み重ねてきたからなのか、いい意味でライト層にも親しみやすいホラー映画、という作風が確立されてきたように思う。
物語の始まり、忌まわしい噂の存在、そして恐怖の拡散と、決して構成は奇を衒っていないが、丁寧に、かつ堂々と組み立てられ隙がない。まず、カウンセラーとして接した少女の不可解な言動から不気味な噂を知るくだりを描き、別視点で噂の儀式が現実に行われている光景を示す。そして、本当に“呪い”が機能してしまったことで、一気に登場人物と観客に恐怖が襲いかかってくる。ホラーとしての導入が巧みだ。
この段階で既に生徒それぞれに個性と背景があり、それが恐怖の中にドラマを作り、縺れ合って更におぞましいドラマを生み出す。ひとつひとつの組み立てが万事“解っている”人の手捌きで、そつがない。友人たちが“呪い”の魔手に搦めとられていく経緯にはそれぞれ、青春ドラマの文脈では馴染み深い苦悩が背景にあるため、呪いをかけた彼らに共感してしまう人ならば、その顛末は恐ろしくも切ない。
清水崇監督の出世作《呪怨》シリーズは、数あるホラー映画の中でも特筆すべき感染力の強さで、僅かに触れただけでその死の連鎖に巻き込まれ抜け出すことが出来ないことがなおのこと恐ろしかったが、さすがにこれは荒技であり、だいたい最終的には呪い、災いを断ち切るための奮闘がある。本篇においても、終盤は呪いの根源との戦いに発展していく。
ひとつ惜しいのは、このクライマックスで終幕に繋がっていく要素が、さすがに整合性に欠いているように映ることだ。舞台がそこになるのは解るとしても、そこに至る過程がいまいちしっくり来ない。また、メインと並行して、ある人物が解決に動くのだが、その趣旨にいまひとつリアリティがないのも気になる。怪奇現象は現実離れしていても、多少理不尽でもいいと思うのだが、現実の延長上にある行動は、多少は特殊でも、出来れば常識の範疇にあった方がいい。本篇の場合、ここの特殊性が強すぎて、カタルシスよりも居心地の悪さが勝ってしまっている。
とはいえ、ヴィジュアル的に趣向を凝らした派手な怪異、そして反復を活かした終幕にははっきりとカタルシスがある。前述の点ばかりでなく、割り切れない部分も残してしまっているが、そのどこか据わりの悪い余韻も、ホラー映画らしい余韻を増しているのもまた事実だろう。
私自身知らなかったのだが、本篇は清水監督の過去作と同じ世界観で展開しているという。鑑賞しているときに、「もしかしたらこれは、他にエピソードがあったのでは?」と思わせる部分が、確かにいくつかあった。だが、その背景が解らないから楽しめない、ということはない。実際に、清水監督作品である、という予備知識以外は何も仕入れずに楽しめた私が言うのだから、そこは間違いない。引っかかりを覚える可能性は高い、と指摘せざるを得ないものの、それでも本邦ホラー映画の第一人者の職人的な手捌きが単独で味わえる作品だと思う。
……まあそう言いつつ、引っかかっていた部分の答えがあるのでは、という期待を込めて、私は関連作を観てしまうのでしょう。そのくらい、ホラー映画だからこその安心感はあった。
関連作品:
『呪怨』/『呪怨2』/『THE JUON―呪怨―』/『呪怨 パンデミック』/『輪廻』/『戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH』/『ラビット・ホラー』/『犬鳴村』/『樹海村』/『口に関するアンケート』
『るろうに剣心 最終章 The Final』/『寄生獣 完結編』/『カイジ2 人生奪回ゲーム』/『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』
『もうひとりいる』/『伝染歌』/『シロメ』/『怪談新耳袋 異形』/『劇場版 稲川怪談 かたりべ』/『地獄少女』


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