なんでかこのあいだから夕方以降の映画ばっかり観てます。正式公開はまだ先だけど、イベントとしてきょう18時から各劇場で限定先行上映が行われる、という作品があったので、駆けつけてきました。
劇場はTOHOシネマズ上野にしました……やっぱし夜出かけるのに、あんまり遠くまで足を伸ばすのは好きではありません。繁華街は酔っ払いがたくさんいるし。それに上野は動線がシンプルで、ギリギリで駆けつけても問題が起きにくいので、私としては贔屓にしたい。
しかし今日、映画館のある7階に辿り着いたら、右手の奥にあるスクリーン入口からずーーーーっと列が伸びて、エレベーター前の広いフロアをぐるっと取り巻いてました。劇場の方に訊ねてみると、どうも他でもなく私が観に来た作品の観客に不慣れなひとが多かったらしい。発券のやり方についての問い合わせも多かったうえに、開場のだいぶ前からひとが集まってしまい、早めに開場して対応していたのだとか。それでも列が伸びるのは回避できなかったらしい。まあ、そう聞くと致し方ない。それだけ、今回のお目当てが注目されてる証拠でもある。
鑑賞したのは、草彅剛主演、ニューハーフと育児放棄に遭った少女との出会いが織りなすドラマを、美しいバレエとともに綴る『ミッドナイトスワン』(kino films配給)。
設定から想像したとおりの展開をする部分も多いんですが、しかし全体にかなり過酷な話。随所に、省略したにしてもちょっと跳躍しすぎて、描写から推測して読み解くことの出来ないひとにはやや伝わりづらいかな、とも思うのですが、草彅が演じるニューハーフのひとびとが生きる世界の辛さ、厳しさは充分すぎるくらい織り込まれてる。
それにしてもこの草彅剛は文句なく素晴らしかった。初登場時点から、本当にニューハーフとして生きているひとたちに違和感なく混ざり、女性であろうとする姿を見事に体現している。展開の都合上、ごく一部だけ男性の姿になる場面があるんですが、そこが驚くくらいに痛々しい。そう感じさせるほどに、女性として振る舞う姿が様になってます。中盤以降の壮絶な運命の表現がちょっと過剰なきらいもありましたが、堂々たる名演と言っていい。
バレエの技術も込みで選ばれたと思しい服部樹咲の佇まいも凛として、丁寧に組み立てられた画面が終始美しい。もうちょっと語りが緻密であって欲しかった、という嫌味はありますが、とてもいい映画でした。本公開は9月25日なので、きょう観逃した方はそれまでお待ちください。
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[…] 監督&脚本:内田英治 / エグゼクティヴプロデューサー:飯島三智 / […]