2本でずいぶん死にました。

 このところ月末はだいたい母と共に墓参りに行くのが習慣になってました。
 しかし先月は、むかしの住居の取り壊しを控えた書類作成や荷物の整理でまあまあ忙しかった。お墓までは車で1時間以上、往復すると何だかんだで4時間くらいは費やす。今月はやめとこうか、と見送ったのですが先週、母の夢に2回、父が出たらしい。夢のなかでやたらと文句を言われたそうなので、先週土曜、急遽墓参することにしました。
 当初この日は、非常に楽しみにしていた作品の封切り翌日なので、それを押さえるつもりでした。しかし、そういったわけで平日に繰り越し……次の土曜日は確定しているので、ここでないとズルズル先延ばしになってしまう可能性もある。というわけで本日に予定をずらしたのですが、映画館のスケジュールをよくよく調べてみると、もう1本、気になっていた作品と、時間が完璧に噛み合う……いつもよりも昼食を摂るのが遅くなるけど、そのくらいは致し方ない。前日から心持ち体力の温存に努め、本日に臨んだのでした。

 訪れたのはTOHOシネマズ上野。ふだんは自転車で来るところながら、本日は天気予報が芳しくない。合計で4時間くらい滞在しますから、出かける時間には問題がなくても帰りは降られる恐れがある。久々に電車で向かいました。

 鑑賞した1本目は、『ハッピー・デス・デイ』2部作で一部マニアを熱狂させたクリストファー・ランドン監督の新作、地味な女子高生と殺人鬼の魂が入れ替わってしまうコメディタッチのホラーザ・スイッチ』(東宝東和配給)。何せ『ハッピー~』の面白さを劇場公開終了後に知ったのが悔しくて、本篇は是が非でも劇場で観たかった。
 実に期待通りの快作。シチュエーションの面白さをきっちりと引き出し、ホラー的にもコメディ的にも存分に活かしてる。地味だったヒロインが殺人鬼の魂を持つことでワイルドで危険な匂いを放つメリハリと、図体のデカい男がまるっきり女の子の仕草で振る舞うのが楽しい。一方で、殺人シーンの緊張感の演出は巧みで、手段も猟奇的なのに、気づくとそれさえもだんだん楽しくなってくる。『ハッピー・デス・デイ』で見せたセンスが本篇でも遺憾なく発揮されてます。
 あの2部作のような仕掛けはないので、ちょっとサプライズ不足の感はありますが、エンタテインメントとしては文句なし。恐怖も笑いも堪能出来て、鑑賞後に爽快な余韻を残す、気持ちのいい1本でした。

 次の作品は15分後、かかっているスクリーンはもう開場しているみたいでしたが、いちおういったん階下に降りてもういちどもぎりを通ってから戻る……そういうルールだからね。
 2本目に鑑賞したのは、昨年に43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンが自ら製作に携わった主演作、警官7人を殺害した強盗犯と、犯罪者に容赦のない刑事との一夜の追跡劇をスリリングに描いた21ブリッジ』(Showgate配給)
 現代の西部劇じみた、銃撃戦で彩られたサスペンス。マンハッタン島に繋がる21の橋を封鎖する、というタイトルにも引用されたシチュエーションが活きている気はしないけれど、劇中時間としても短く限られた中で、緊迫したやり取りと逆転をしっかり盛り込んでいて密度が高い。
 率直に言えば、背景そのものには大して意外性がないので、クライマックスに至ってもあまり驚きはない。ただ、息をつく間もない追跡劇の中でしっかりと伏線を用意していて、その緊密な作りにテーマ性も組み込んだ語り口は奥深い。夜が明けたあとの苦い余韻も印象的。突出した傑作、とは思わないけれど見応えのある1本。
 ……しかし、ハシゴするラインナップとしては正直、間違いだった気がしてます。人死にが多すぎて感覚が麻痺する。慣れすぎて、『21ブリッジ』を観てるとき、ちょっと倦んでしまうくらいでした。組み合わせはもうちょっと考慮しよう。

 鑑賞後の昼食は、鴨to葱を再訪する……つもりだったのですが、到着したのが13時40分ぐらいにも拘わらず、まだ列が続いてる。上映中ちょっとずつポップコーンをつまんでいたお陰でお腹は保ってますが、さすがにずーっと待っているのはしんどいので、他の店へ。
 御徒町から湯島界隈までうろちょろして、けっきょくは久々に魁 肉盛りつけ麺六代目けいすけに立ち寄ることに。まあ、近いうちに来るつもりでしたから問題はない。毎度の如く辛肉盛りつけ麺に温泉たまごをつけて堪能しました。

コメント

  1. […] 原題:“Freaky” / 監督:クリストファー・ランドン / 脚本:クリストファー・ランドン、マイケル・ケネディ / 製作:ジェイソン・ブラム /  […]

  2. […] 原題:“21 bridges” / 監督:ブライアン・カーク / 脚本:アダム・マーヴィス、マシュー・マイケル・カーナハン /  […]

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