善意もまた、諍いの種。

 またぞろ寒波が迫り、私が出かけるつもりでいる日に限って雨か雪の予報が出てます……もはや巡り合わせなので諦める。
 そうは言いつつも本日、私の出かける時刻には陽が射していた。しかし予報の印象ではいつ降り出すか解らないし、なにより、現地入りの時刻がちょっと微妙で、バイクだと駐車場が空いているか心許ない。そんなわけで今回も電車移動です。
 訪れたのはTOHOシネマズシャンテ、鑑賞したのは『スリー・ビルボード』で映画界に強烈なインパクトを与えたマーティン・マクドナー監督最新作、20世紀初頭の内戦にあったイングランドを舞台に、親友から突如絶交を言い渡された男の混乱を軸とするドラマイニシェリン島の精霊』(Walt Disney Japan配給)
『スリー・ビルボード』が高い評価を受けていた当時、観なきゃ観なきゃ、と思いながらも、毎度ながらタイミングが合わず映画館で観ることが出来なかった。その後も機会が得られなかったため、これが初めてのマーティン・マクドナー作品鑑賞です。今年のアカデミー賞でも有力候補の1本と見做されているので、早めに観ておきたかった。
 これは確かに凄い。なにか答えを示そうとするドラマではないのですが、その異様な事態の転がりように、人間が関係を築く難しさ、というものが凝縮されてる。
 本当に終始、「俺はお前が嫌いだ」「なんで?!」というやりとりしかない、とも言えるのですが、そこでのやり取り、出来事の異様な緊張感といったら。お互い、何もそこまでする必要はあるのか? と傍目には思うのですが、狭い島ゆえに、解決のしようがないのです。そのことを、ある人物のあまりにもシンプルな行動が如実に証明してしまうので、なおさら本篇は不可解であり、恐ろしい。
 終盤には、みんな頭がおかしくなったのか、と糾したくなる事態に陥りますが、これも恐ろしいことに、底に善良さは残っているのです。何故こうも解り合えないのか、どうあっても我を通そうとするのか。
 舞台はだいぶ昔で価値観もだいぶ違い、そして出来事は極端なのに、他人事とは思えない。人間関係というものの厄介さが濃縮されたような傑作でした。賞レースを席巻するのも当然です。

 鑑賞後はまず日比谷シャンテ地下の日比谷しまね館へ。今週木曜日の茶風林氏のオンラインイベントに合わせてお酒を購入し、ついでにどじょう掬いまんじゅうも購入……母に頼まれて、母が手伝っているお店の方へのお土産として松江で買ってきたんですが、お孫さんにうっかり大半を渡してしまって食べられなかったらしい。なので、我が家でもいただきつつ、一部お裾分けするために仕入れた次第。
 昼食は、新しいお店を開拓する気分的な余裕もないので、またぞろ日比谷ラーメンアベニューに立ち寄って済ませました。

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