さだ丼、いただきました。

 もらったわけではない。ちゃんと買いました。さだまさしの最新アルバムは、2019年に2枚同時リリースした『新自分風土記』に続くセルフカバー集です。
 1枚目がピアノ中心のアレンジ、二枚目がギター中心、と明確に色分けを施してましたが、今回はストリングスまで加えた堂々たる編成。
 しかしこの『さだ丼』、なにが凄いって、異常なくらい初心者の入りやすいセットリストになってるのです。
『天然色の化石』や『修二会』などファンの支持は厚いけど一般的でない曲も含み、それ以外もシングルからの引用が少なめな前2作に対し、今回はすべてが何らかのタイアップが実施されているため、ほぼ大半がシングル曲。タイアップしてるくらいですから、ファンでなくても耳馴染みのある曲が多い。
 そして、ラインナップが文句のつけようもなく、いい。
 鉄板の『北の国から』を贅沢なアレンジで披露すると、誰しもが思い描く日本の原風景を完璧に落とし込んだ名曲『案山子』に入り、私含め熱狂的なファンも多い傑作『道化師のソネット』、そして初期のさだまさしを象徴する“暗い”さだの代表作『無縁坂』ときて、幻想的な佳作『桃花源』。伸びやかな歌唱が心地好い『天までとどけ』から、サーヴィスで収録の最新ヒット『にゃんぱく宣言』から雛形である『関白宣言』という水も漏らさぬ流れ。さだまさしとしては素直なラヴ・ソング『あなたが好きです』から優しい祈りを籠めた『聖夜』から、『しあわせについて』、『SMILE AGAIN』と他者への思いやりを切実に歌い、個人的にはさだまさしのバラードの最高峰だと思っている大傑作の最新版『奇跡 2021』が来て、最後に収録曲では(にゃんぱくを除いて)もっとも新しい名曲『いのちの理由』で締めくくる。最高です。

 このコロナ禍でもいち早くコンサートツアーを再開、積極的に活動しているさだまさしは、この作品とまったく同じセットリストでのツアーを実施するそうですが、今回はチケットを押さえる余裕がなく、私は不参加。なので、このアルバムをひたすら聴いて渇を癒やしたいと思います。
 ……ああホントにいいなあ、このアルバム。

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